施術で強さを求められたとき:圧の上げ方と上げない部位の線引き
2026/09/29
施術の途中で、受け手から「もっと強くしてください」と言われることがあります。そのたびに言われるまま強くしていくと、翌日に痛みが残ったり、強くしてはいけない場所まで押してしまったりします。反対に、断り方が決まっていないと、受け手に物足りなさだけが残ります。
この記事では、強さを求められたときに、まず何を確かめるか、どこは強くしないか、1回にどれだけ上げるか、応じられないときにどう伝えるかを順に整理します。強さと施術の良し悪しを結びつけずに、受け手が我慢しないで済む段取りを決めておくための内容です。
目次
1. 「もっと強く」の中身を先に確かめる
受け手の言う「もっと強く」は、必ずしも圧が足りないという意味ではありません。押している場所がずれている、動きが速くて物足りない、手のひらで広く触れているため感じにくい、といった場合にも同じ言葉が出てきます。そのため、圧を上げる前に、ほかのものを1つだけ変えて試します。
圧の前に変えられる3つのもの
- 場所:押している位置を1〜2センチずらし、受け手が求めている場所を探す
- 面:手のひらから母指、母指から指の関節へと、触れる面を狭くする
- 速さ:同じ強さのまま、押している時間を長くし、ゆっくり離す
このうち1つを変えただけで「そこです」「それくらいでいいです」と返ってくることは少なくありません。どの手技で面や速さを変えるかは押す・揉む・叩くの使い分けで整理しています。
聞き方は短く、選べる形で
「もっと強く」と言われたら、まず次のように聞き返します。
「今の場所で、もう少しですか。それとも少し場所を変えますか。」
二択にしておくと、受け手は答えやすくなります。圧の確認そのものの聞き方と回数は施術中の声かけ例文で扱っています。
2. 強さを上げない部位を先に決める
強さを求められても上げない部位は、施術の前に決めておきます。その場で考えると、受け手の求めに引っ張られて判断が緩みます。
上げない部位の例
- 骨がすぐ下にある場所:すね、くるぶし、足の甲の骨の上、背骨の真上、肩甲骨の縁
- 首の前と横
- 膝の裏と脇の下
- 皮膚に傷・赤み・腫れがある場所とその周り
- 血管が浮いて見える場所
足の施術では、足の甲やくるぶしの周りは骨がすぐ下にあるため、足の裏と同じ強さでは押しません。足の裏でも、かかとの骨の上などは押す位置をずらします。
施術の前に聞いておくこと
強めの施術を希望する受け手には、初回の聞き取りで次の点を確かめておきます。
- 以前に強めの施術を受けたあと、あざが出たことや痛みが残ったことがあるか
- 通院中の病気や、医師から施術について言われていることがあるか
- あざができやすい、血が止まりにくいと言われたことがあるか
当てはまる場合は、強さを上げる前に主治医の考えを優先してもらい、施術者は強さを判断しません。聞き取りの項目の決め方はカウンセリングシートの項目で紹介しています。
3. 上げるのは1回に1段、10秒以内に確かめる
上げない部位を除いたうえで強さを上げるときは、上げ方にも決まりを作っておきます。
強さは10段階で受け手に言ってもらう
強さの感じ方は人によって大きく違うため、施術者の手の感覚だけでは決められません。そこで、0を「何も感じない」、10を「我慢できない痛み」として、受け手に数字で言ってもらいます。
サロンで決めておく目安として、上限は5〜6(しっかり感じるが、体の力は抜けたままでいられる強さ)に置き、7以上には上げないようにします。7を超えると、受け手は体に力を入れて耐えるようになり、施術を受けている状態ではなくなるためです。
上げ方の決まり
- 1回に上げるのは1段まで
- 上げたら同じ場所で2〜3回押し、10秒以内に「今の強さはいくつですか」と聞く
- 同じ部位で上げ直すのは2回まで
- 次の部位に移ったら、一つ前の強さから始め直す
数字より先に体を見る
受け手が「大丈夫です」と言っていても、体が先に反応していることがあります。次の様子が見えたら、数字を聞く前に1段下げます。
- 息を止める
- 手を握る、足の指が丸まる
- 押している側と反対の脚や肩に力が入る
うつ伏せでは顔が見えないため、手と足の指の様子がいちばんの手がかりになります。
4. 応じられないときの伝え方と、施術のあと
断るときは理由を1文、代わりを1つ
上げない部位で強さを求められたときや、上限に達したときは、理由を短く伝え、代わりにできることを1つ示します。
「ここは骨に近いので、この強さまでにしておきますね。そのぶん周りを少し長めに扱います。」
理由を長く説明したり、「痛いほど効く」といった考えを否定したりはしません。強さと施術の良し悪しは結びつけずに伝えます。
施術のあとに伝えること
強めの施術のあとに、翌日だるさや押された場所の痛みを感じる人がいます。強めを希望した受け手には、見送りのときに次のことを伝えておきます。
「今日は強めにしたので、明日押したところが少し気になるかもしれません。痛みが続くようなら、次回は強さを下げますので教えてください。」
次回のために1行残す
施術のあとには「足裏6・ふくらはぎ5・くるぶし周りは上げず」のように、部位ごとの数字を1行だけ残します。次回はこの数字から1段下げたところで始め、同じ手順で確かめます。
痛みが続くと言われたら
施術のあと、痛みが2〜3日以上続いている、あざが広がってきた、しびれがある、と受け手が話す場合は、施術者が原因を推測して伝えることはせず、医療機関の受診をすすめます。セラピストは受け手の体の状態を診断しません。
5. 指関節押圧を中心に学ぶ中国式足つぼ療法講座
強さを段階で扱うには、指先の力に頼らずに押し方を変えられることが前提になります。中国式足つぼ療法講座は、指の関節を使った押圧を中心に、足の施術を15の実技科目に分けて学ぶ講座です。
実技科目
- 指関節押圧法/指関節押圧ほぐし/指関節一点押圧術
- 拇指押圧もみ/拇指押圧調整法/拇指圧反射調整法/拇指反射まわし法
- 第二関節反射法/第二関節押圧調整
- 反射刺激法/指角押圧法/反射法
- 両手甲仕上げ法/経絡オイルトリートメント/足首ストレッチ
同じ足の裏でも、指の関節で押すか、拇指で押すか、指の角で押すかによって、触れる面の広さが変わります。1章で扱った「圧の前に面を変える」を、手技の名前で使い分けられるようになります。
理論科目
理論科目には「施術上の注意事項」と「お客様アドバイス学」が含まれています。ほかに、ゾーン(反射学)、解剖生理学、中国式足つぼ療法の歴史などを学びます。
教材・期間・受講料
- 教材:DVD1枚、実技テキスト1冊、理論テキスト1冊、解剖生理学、反射区表、副読本、フット模型、施術用クリーム、確認問題
- 学習期間:標準2ヶ月〜8ヶ月、最長1年
- 受講料:通常79,200円のところ、資格支援特別価格28,500円(月々1,348円から)
資格支援特別価格は時期により変動します。フット模型が教材に含まれているため、練習相手がいなくても指の当て方を確かめられます。確認問題は100点満点中80点以上で合格で、再試験は無料・無制限です。試験料・認定料・送料・更新料はかかりません。修了すると認定証が2枚(GBC・ITSA)発行されます。
教材の内容を詳しく確かめたい方は、資料請求から案内を取り寄せられます。
6. よくある質問
上限まで上げても「物足りない」と言われ続けたら
上限を超えて上げることはしません。場所・面・速さを変えて試し、それでも物足りないと言われる場合は、その部位の時間を少し長くするなど、強さ以外で応えます。サロンの方針として上限を決めていることを、初回に伝えておくと受け手も納得しやすくなります。
足の施術は痛いものだと思っている受け手には
痛みを我慢する必要はないことを、始める前に1文で伝えます。「強さは数字で教えてください。7を超えたら言ってくださいね」と言っておけば、受け手が我慢しにくくなります。
反対に「弱くしてほしい」と言われたら
弱くする場合は段階を気にせず、すぐに下げてかまいません。下げたあとに数字を聞き、その部位の強さを1行に残しておきます。
強さは毎回同じでよいですか
前回の数字をそのまま使わず、1段下げたところから始めます。その日の受け手の状態によって感じ方が変わるためです。
強めの施術で施術者の指が痛くなるときは
指先だけで押すと、施術者の指に負担がかかります。指の関節や手の別の面で押す手技を使い分けることで、指先に頼らずに強さを変えられます。手技の使い方は講座のDVDとテキストで確かめてください。


