押す・揉む・叩くの違いと使い分け|部位別の組み立て
2026/08/25
ボディケアの基本手技は「押す」「揉む」「叩く」の3つにまとめられます。ただ、この3つは強さの段階が違うだけではありません。手のどこを当てるか、1か所にどれだけ時間をかけるか、どの向きに動かすかが、それぞれまったく別物です。
ここを区別しないまま練習すると、押しているつもりで揉んでいたり、叩打のリズムが速すぎて受け手が身構えたりします。この記事では3つの手技を接触面・秒数・方向・リズムの4点で分け、肩・背中・脚での組み立て方までまとめました。
目次
1. 押す・揉む・叩くは何が違うのか
3つの手技は、次の4点で区別できます。
- 接触面:手のどこを当てるか。母指、四指、手根、手掌、前腕、拳のいずれか
- 時間:1か所にとどまる長さ。押すは秒単位、揉むは往復回数、叩くは連続
- 方向:垂直に沈めるのか、筋の走行に対して横に動かすのか
- リズム:一定の間隔を刻むのか、静止を含むのか
押すは垂直方向に沈めて静止を含む手技、揉むは組織をずらしながら動かす手技、叩くは短い接触を連続させる手技です。押すと揉むは持続、叩くは断続、と覚えると混ざりません。
もうひとつ、目的の違いもあります。押すは範囲を絞って一点に届かせる手技、揉むは面をとらえて広く扱う手技、叩くは施術の区切りや仕上げに置いて感触を切り替える手技です。同じ肩でも、この3つを順に使うのと押すだけで通すのとでは、受け手の体感がまったく変わります。
2. 押す(圧迫法)は接触面と秒数で決まる
押すときにまず決めるのは、手のどこを当てるかです。接触面が小さいほど圧は一点に集まり、大きいほど分散します。
- 母指:肩や背中の狭い部位に。範囲は指1本分
- 四指をそろえて:首すじや脇腹など、面で受けたい部位に
- 手根(手のひらの付け根):背部や臀部など広い面に。母指を守れる
- 前腕:太ももや背部の広い面に。自分の体重を乗せやすい
秒数の目安は、3秒かけて沈める、3秒とどめる、3秒かけて抜く、の9秒です。抜くときに急に離すと受け手が驚くので、沈めたときと同じ速さで戻します。この「戻す速さ」を意識できているかどうかが、初心者と経験者の差が最も出るところです。
圧の強さは、受け手が息を止めない範囲が上限です。呼吸が浅くなったり肩が上がったりしたら、それは強すぎる合図なので、その時点で圧を引きます。
なお押す手技は指先の状態がそのまま伝わります。爪の長さや手指の温度をどう整えるかはセラピストの爪と手の準備にまとめてあるので、あわせて確認してください。
3. 揉む(揉捏法)は筋線維に対する方向で決まる
揉む手技で大事なのは強さではなく方向です。筋肉には走行があり、その線維の向きに対してどの角度で動かすかで、扱っている組織が変わります。
- 線維に対して直角に動かす:筋腹を横断してとらえる
- 線維に沿って動かす:走行に合わせて長く流す
- 円を描く:付着部の周囲や、範囲の狭い部位に
たとえば背中の脊柱起立筋は背骨に沿って縦に走っているので、直角に動かすなら横方向です。ふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋も縦走なので同じ考え方になります。逆に僧帽筋の上部は斜めに走っているため、真横に動かすと線維に沿ってしまいます。人体筋肉図を手元に置いて、触っている筋の向きを確かめながら練習すると早く身につきます。
回数の目安は1か所につき3〜5往復です。それ以上続けても情報が増えないうえ、同じ場所を擦り続けることになります。3〜5往復したら隣へ、と区切って移動していくほうが、全体として滑らかにまとまります。
皮膚の上を滑らせるのではなく、皮膚ごと組織を動かすのが揉捏法です。手が滑っていると感じたら、圧が浅いか、オイルの量が多すぎるかのどちらかです。
4. 叩く(叩打法)はリズムと避ける場所で決まる
叩く手技は、手の形で当たり方が変わります。
- 手刀(小指側の側面):背部や大腿部に。最も一般的
- 軽く握った拳:厚みのある部位に。面で当てる
- 手のひらをくぼませる:空気の層ができ、音は大きいが刺激は柔らかい
- 指先をそろえる:頭部や肩まわりなど、細かく当てたい部位に
速さの目安は毎分120〜180回程度、1秒に2〜3回のリズムです。強く叩くのではなく、手首を脱力させて跳ね返る力で連続させます。腕全体を振り下ろすと重くなりすぎるので、動かすのは肘から先だけにします。時間は1部位あたり10〜20秒で十分です。
叩打を行わない場所ははっきり決めておきます。背骨の直上、肩甲骨や腸骨などの骨が突出している部分、腎臓のある第11・第12肋骨のあたり、膝の裏やわきの下などのくぼみは避けます。妊娠中の方、骨に不安のある方、体調がすぐれない方への叩打も行いません。
セラピストは診断を行いません。施術中に痛みやしびれ、いつもと違う体調の変化に気づいた場合は、施術を中止し、医療機関の受診をすすめてください。判断に迷う場面をどう扱うかについては、講師紹介のページから、指導にあたる講師の経歴も確認できます。
5. 肩・背中・脚での組み立てと学び方
3つの手技は、部位ごとに配分が変わります。
- 肩・首まわり:押すが中心。接触面は母指と四指。叩打は指先で短く
- 背中・腰:手根と前腕で押し、脊柱起立筋を横方向に揉む。叩打は背骨を外して手刀で
- 脚:前腕で広く押し、腓腹筋を縦走に対して直角に揉む。仕上げに拳で軽く
順番は、面の広い手技から細かい手技へ、そして最後に叩打で区切る流れが基本です。いきなり母指で一点を押すのではなく、手掌や前腕で広く触れて全体をならしてから、範囲を絞っていきます。
この3手技を体系的に扱うのがリラクゼーションボディセラピー講座です。実技は肩部調整、肩関節・腕調整、背部・脊椎調整、脚調整の4科目で、理論科目は基本人体解剖学。教材はDVD1枚、実技テキスト1冊に加えて人体骨格図と人体筋肉図が付くので、筋の走行を確かめながら手技を練習できます。標準学習期間は1ヶ月〜3ヶ月、最長1年まで受講できます。修了後はGBC認定と一般社団法人ITSA認定の認定証2枚が発行され、更新料はかかりません。受講料は通常49,500円のところ資格支援特別価格24,600円、24回分割で月々1,163円です。なお資格支援特別価格は時期により変動します。
押し・流し・さすりを組み合わせて筋肉を包み込むように扱う技術を学びたい場合は、リセットボディケアセラピー講座という選択肢もあります。骨格を整える整体とは考え方が異なり、心地よさを段階的に積み重ねていくスタイルです。
6. よくある質問
3つの手技のうち、どれから練習すればよいですか
押すから始めてください。接触面と圧の入れ方が身につかないまま揉むに進むと、皮膚の上を滑らせるだけの動きになりやすいためです。押すで体重の乗せ方を覚えると、揉むも叩くも安定します。
力が弱くても施術できますか
できます。腕の力で押すのではなく、自分の体重を接触面に乗せて沈めるのが基本です。前腕や手根を使えば、指の力に頼らずに広い面へ圧を届けられます。体力に自信がない方でも扱える組み立て方になっています。
叩く手技は必ず入れなければいけませんか
必須ではありません。受け手が音や振動を苦手とする場合、骨に不安がある場合、体調がすぐれない場合は省いて構いません。3つの手技は必ず全部使うものではなく、相手に合わせて選ぶものです。
家族に施術する場合も同じ手順でよいですか
手技の考え方は同じですが、家族が相手だと遠慮なく強く押してしまいがちです。呼吸が浅くなっていないか、肩が上がっていないかを、他人に施術するときと同じように確認してください。
通信講座で実技は身につきますか
映像で手の角度や体の使い方を繰り返し確認できるため、その場限りの実演より復習には向いています。当学院は完全通信制で、学習中の疑問はメールで質問できます。確認問題は100点満点中80点以上で合格、再試験は無料で回数制限がありません。教材やサポートの中身は充実の教育プログラムで確認できます。



