受け手の遅刻で施術を縮めるとき:分数ごとに削る工程の順番
2026/09/29
予約の時刻に受け手が遅れて着くことは、どのサロンでも起こります。そのたびに「今日はどこを短くしようか」とその場で考えていると、施術の組み立てが崩れ、次の予約にも遅れが広がります。
この記事では、60分メニューを90分枠で受けている場合を例に、遅れた分数ごとに削る工程の順番を4つの段階で整理します。あわせて、遅れの連絡を受けたときと受け手が着いたときの伝え方も扱います。遅れた受け手を責めずに終了時刻を守るための決め方です。
目次
1. 遅刻で困るのは終了時刻と次の予約がずれること
受け手が遅れて着いたとき、いちばん影響を受けるのは施術そのものではなく、終了時刻です。終了時刻が動くと、そのあとの予約が順に後ろへずれていきます。
90分枠の内訳
2回目以降の受け手の場合、60分メニューの90分枠はおおよそ次のように分かれます。
- 受け入れと着替え:5分
- カウンセリング:3分(初回は聞き取り10分と記入5分で、枠は105分)
- 施術:60分
- 起き上がりから会計・見送りまで:7分前後
- 片付け:15分
この中で、前後のずれを吸収できる余白は片付けの15分のうち5分前後しかありません。枠の組み方そのものはサロン予約枠の組み方で整理しています。
1件の遅れは1日に広がる
1日に4件を受けている日に、1件目の受け手が10分遅れ、その分だけ終了を延ばしたとします。すると2件目・3件目・4件目の開始もそれぞれ10分ずつ遅れます。後ろの3件で合わせて30分の遅れが生じ、最後の見送りは30分遅くなります。遅れていない受け手を待たせることにもなります。
原則は「終了時刻は動かさず、施術の長さで吸収する」
そのため、遅刻したときは終了時刻をそのままにして、施術の長さで吸収するのを原則にします。例外は、その日の最後の枠で、なおかつ受け手が延長を了承した場合だけです。延ばせる条件も事前に決めておけば、その場で迷わずに済みます。
2. 遅れた分数で決める4つの段階
60分メニューを例に、遅れた分数ごとの施術時間と組み立てを4つの段階に分けます。区切りの分数は、サロンで決めておく目安です。
- 5分まで:施術は60分のまま。片付けの余白5分で吸収します。その日は施術と施術の間の休憩が1回分短くなります
- 6〜10分:施術は50〜54分。工程は1つも落とさず、同じ部位を往復する回数を減らして、うつ伏せと仰向けから数分ずつ縮めます
- 11〜15分:施術は45〜49分。工程を1つ丸ごと落とします
- 16分以上:施術は44分以下。体位を1つに絞った組み立てにするか、日を改めるかを、受け手に選んでもらいます
数える分数には「座って落ち着く時間」を足す
急いで来た受け手は、息が上がっていることがあります。その場合は、着替えの前に椅子に座ってもらい、水を飲んで1〜2分落ち着いてもらいます。この時間は削りません。削る分数は、遅れた分数にこの1〜2分を足して数えます。8分遅れて着き、2分座ってもらった場合は、10分として扱います。
初回の受け手はカウンセリングを削らない
初回の聞き取り10分と記入5分は、体調や施術を控えるべき事情を確かめる時間なので削りません。初回の受け手が遅れたときは、遅れた分をすべて施術の側で吸収します。2回目以降の3分のカウンセリングも、原則として残します。
段階表はA5に1枚
4つの段階と、それぞれで落とす工程をA5の紙1枚にまとめ、施術室のワゴンに置いておきます。遅れの連絡が来たときに、この紙を見ればすぐに組み立てを決められます。
3. 削らないものと削る順番
施術を短くするとき、どこを削るかは毎回変えないほうが、施術者も受け手も落ち着きます。まず削らないものを決め、残りから順番に削ります。
削らないもの
- 着いてから座って落ち着く1〜2分
- カウンセリング(初回15分、2回目以降3分)
- 最初に手を置いて始める導入の3分
- 仕上げの5分と、起き上がりの3段階
- 体位変換の回数(遅れても増やしません)
導入と仕上げを削ると、始まりと終わりが慌ただしくなります。短くなった施術であっても、受け手にとっては「きちんと始まって、きちんと終わった」ことが大切です。
削る順番は3段
- 同じ部位を往復する回数を減らす(6〜10分の遅れならここまで)
- カウンセリングで受け手が挙げなかった部位の工程を1つ落とす(1工程で5分前後)
- 体位を1つにまとめる(体位変換の2〜3分と、片側の体位の工程がまとめて浮きます)
カウンセリングで「今日は背中と首を」と挙げた部位は、最後まで残します。削る順番を決めておけば、遅れが何分であっても「受け手が望んだ部位から先に削ってしまう」ことがなくなります。
順番は変えず、長さだけを変える
受け手の希望で工程の順番そのものを組み替える方法は、施術の順番を入れ替えるときで扱っています。遅刻のときは、いつもの順番をそのまま使い、各工程の長さと工程の数だけを変えます。順番まで変えると、体位変換の回数が増えたり、終わり方が崩れたりしやすくなるためです。
4. 遅れの連絡を受けたときと着いたときの伝え方
遅刻への備えは、受け手が着く前から始まります。決めておくのは、予約時に伝えること、連絡を受けたときにすること、着いたときに伝えることの3つです。
予約の確定連絡に1行を添える
予約が決まったときの連絡に、次のような1行を添えておきます。
「遅れる場合は、分かった時点でご連絡ください。終了時刻はそのままで、施術の時間を調整します。」
短くなった場合に料金を変えるかどうかも、サロンで方針を決めてこの行に書いておきます。当日その場で決めると、受け手ごとに扱いがばらつきます。
連絡を受けたら、その場で段階を決める
遅れの連絡を受けたら、到着予定の時刻から段階を決め、落とす工程までその場で決めておきます。受け手が着いてから考え始めると、そのぶんさらに時間が減ります。
初めて来る受け手の遅れは、道に迷ったことによるものが多くあります。何度も同じ場所で迷われる場合は、案内の仕方を見直す合図です。案内文の作り方は自宅サロンの場所の伝え方で整理しています。
着いたときは責めずに2つだけ伝える
着いた受け手に遅れた理由を尋ねたり、遅れたことを繰り返し話題にしたりはしません。伝えるのは、終了時刻と、中心にする部位の2つだけです。
「お気をつけていらっしゃいました。終わりは○時のままで、背中と首を中心にしますね。」
これで受け手は、何が短くなるのかを施術の前に知ることができます。終わってから「今日は脚を省きました」と伝えるより、受け手が戸惑わずに済みます。
体調が気になるときは始めない
走って来た受け手が、座って休んでも息苦しさや気分の悪さが続くと話す場合や、顔色がすぐれない場合は、施術を始めずに休んでもらいます。セラピストは受け手の体調を判断しません。症状が続くようなら、医療機関の受診をすすめます。
残すのは1行
施術のあとには「遅れ12分・仰向けの脚を省略」のように1行だけ残しておきます。次回、省いた部位を先に扱うかどうかを受け手に聞くときの手がかりになります。
5. 11の実技科目に分かれたメディカルボディ痩身講座
遅れた分数に合わせて工程を削るには、施術を部位ごとの工程に区切って把握していることが前提になります。メディカルボディ痩身講座は、全身の施術を11の実技科目に分けて学ぶ講座です。
実技科目
- 下肢もみほぐし(仰向け)
- 腹部もみほぐし(仰向け)
- 鎖骨・肩部・頸部もみほぐし
- 下肢・背部・腰部もみほぐし
- 足裏・脚・臀部トリートメント
- 背中・腕・頸部トリートメント
- 頭部ほぐし
- 足裏・脚トリートメント(仰向け)
- 腹部トリートメント(仰向け)
- 腕トリートメント(仰向け)
- デコルテ・頸部トリートメント(仰向け)
理論科目
理論科目には「カウンセリング方法と施術、お見送りまでの流れ」があります。受け入れから見送りまでを一続きで考える科目で、この記事で扱った90分枠の組み立てと直接つながります。ほかに、セサミオイルについて、基礎生理学、注意事項などを学びます。
教材・期間・受講料
- 教材:オリジナルDVD2枚、実技テキスト2冊、理論テキスト1冊、副読本、セサミオイル、確認問題
- 学習期間:標準2ヶ月〜8ヶ月、最長1年まで延長無料
- 受講料:通常79,200円のところ、資格支援特別価格29,900円(月々1,414円から)
資格支援特別価格は時期により変動します。確認問題は100点満点中80点以上で合格で、再試験は無料・無制限です。試験料・認定料・送料・更新料はかかりません。学習中の疑問はメールで質問できます。
修了すると、認定証が3枚(GBC1枚・ITSA2枚)発行されます。認定証の内容は厚生労働大臣認可 認定証で紹介しています。
6. よくある質問
遅れた分だけ終了時刻を延ばしてはいけませんか
その日の最後の枠で、受け手が了承した場合は延ばしてかまいません。それ以外は、次の受け手の開始が遅れるため延ばさないのが原則です。延ばせる条件は事前に決めておきます。
遅刻で短くなった分の料金はどうすればよいですか
通常の料金のままにするか、短くなった分を考慮するかは、サロンで方針を決めます。決めた内容は予約の確定連絡に書いておき、当日その場では決めないようにします。
連絡がないまま遅れている場合は、いつまで待てばよいですか
何分まで待つかをサロンで決め、予約時の案内に書いておきます。予約の時刻を過ぎたら一度連絡を入れ、決めた時間を過ぎても連絡がつかない場合は、その枠を終えた扱いにします。
毎回少しずつ遅れて来る受け手にはどう伝えますか
遅れを責める言い方はしません。予約の確定連絡で開始時刻と終了時刻を2つ並べて伝え、「終わりは○時です」と先に知らせておきます。到着が早まることが多くあります。
セラピストの側が前の施術で押してしまったときは
受け手の施術時間は削らず、施術と施術の間の自分の休憩5分から吸収します。それでも足りない場合は、受け手が着いた時点で遅れる分数を伝え、終了を同じ分だけ遅らせてよいかを尋ねます。



