施術の順番を入れ替えるとき|体位の往復と時間配分の考え方
2026/08/31
施術の順番は、教材で習った通りに一度覚えてしまうと、そのまま固定されがちです。ところが現場では、肩だけ念入りにという要望が入ったり、うつ伏せがつらいと言われたり、予定より10分遅れて始まったりします。そのたびに、どこを動かしてよくてどこを動かさないほうがよいのかを判断することになります。
この記事では、施術の順番がなぜその並びになっているのかを整理したうえで、体位の往復回数と時間配分という2つの物差しで並べ替える考え方をまとめます。60分メニューの内訳、体位変換にかかる時間、座位でまとめられる工程といった具体的な数字を基準にしているので、自分のメニューに当てはめて考えられます。
目次
1. 施術の順番が今の並びになっている理由
多くの全身メニューは、うつ伏せから始めて仰向けで終わる、あるいはその逆の並びになっています。この順番は感覚で決まっているわけではなく、段取りの都合から決まっています。理由は大きく3つあります。
- 体位を変える回数を最小にできる。1回の体位変換にはタオルの掛け直しと声かけを含めて2〜3分かかるため、往復が増えるほど施術時間が削られる
- タオルワークが破綻しない。うつ伏せで整えた掛け方を仰向けでもう一度組み直す作業が、1回で済む
- オイルやクリームの塗り直しが減る。同じ体位で扱う部位をまとめておけば、手を拭く回数も減る
60分メニューを例にすると、導入と確認に3分、うつ伏せで25分、体位変換に2〜3分、仰向けで20分、仕上げに5分という配分になります。合計すると55分前後で、残りが調整の余白です。この内訳を頭に入れておくと、どこをどれだけ動かせるかが数字で見えるようになります。
つまり施術の順番は、効き目の順ではなく段取りの順です。ここを取り違えると、順番を変えること自体に不安を感じてしまい、目の前の相手に合わせた組み立てができなくなります。
2. 入れ替えてよい場面と、動かさないほうがよい場面
並べ替えの判断は、その場の思いつきではなく、あらかじめ線を引いておくと迷いません。
入れ替えてよい場面
- 特定の部位を念入りにという要望があるとき。同じ体位のなかで配分を移す
- 開始が遅れて時間が短くなったとき。工程の順を入れ替えて、体位変換を早い時点に寄せる
- うつ伏せが続けられないとき。横向きや座位に置き換えて、同じ部位に別の姿勢からアプローチする
動かさないほうがよい場面
- 導入と仕上げの位置。最初の確認と最後の抜き方は、どんな並べ替えでも前後に置いたままにする
- 体位変換が2回以上に増える並べ替え。部位ごとに好きな順で回すと往復が増え、時間も相手の負担も増える
- その日はじめて試す手技を、時間が押している場面に差し込むこと
うつ伏せがつらいという申し出への具体的な対応は、うつ伏せがつらい人の体位変換で手順をまとめています。クッションの当て方と声かけの順まで含めて確認しておくと、当日その場で組み替えられます。
なお、施術中に痛みや体調の変化を訴えられた場合は、順番を組み替えて続けるのではなく、いったん中止してください。セラピストは診断を行いません。気になる症状が続くようであれば、医療機関の受診をすすめる案内にとどめます。
3. 体位の往復を1回に収める組み替え方
並べ替えの実務は、部位を並べ替えることではなく、体位ごとに工程をまとめ直すことです。同じ姿勢でできることを一度に片づけると、順番が自然に決まります。
うつ伏せでまとめられる工程
- 背部、腰部、臀部
- 下肢の背面、足底
- 肩甲骨まわりと頸部の後面
仰向けでまとめられる工程
- 下肢の前面、足の甲
- 腹部、上肢
- デコルテ、頸部の前面、頭部
座位でまとめられる工程
- 肩、頸部、背部の上側
- 上肢と手
座位は着替えもベッドへの移動も要らないため、3〜5分の短い単位で差し込めます。時間が押しているときの受け皿として持っておくと、順番の自由度が上がります。
組み替えたら、その日の並びを紙に書き出しておくと確実です。工程名を体位ごとに縦に並べ、右側に分数を書くだけで十分な工程表になります。姿勢ごとに手順を体系で押さえたい場合は、【通学同等型】カリキュラムで学習の進め方を確認できます。
4. 時間が足りないときに削る順番
短縮するとき、すべての工程を少しずつ薄く削るのは失敗しやすい方法です。一つひとつが中途半端になり、全体の印象も締まりません。削るなら工程ごと落とします。
60分のメニューを45分に収める場合の例です。
- 導入と確認の3分、仕上げの5分は残す。ここを削ると始まりと終わりの印象が崩れる
- 体位変換は1回のまま。往復を増やさない
- うつ伏せ25分を18分に。背部と腰部を軸にして、下肢背面を短くする
- 仰向け20分を14分に。要望のあった部位を残し、それ以外を1工程分落とす
落とした工程は、黙って省かず口頭で伝えます。今日は肩を中心に組みました、下肢は次回にしましょう、と言えるかどうかで受け取られ方が変わります。伝えた内容は記録にも残し、次回の組み立てに使います。
そもそも時間が足りなくなる原因が枠の取り方にある場合は、順番の工夫では追いつきません。60分の施術に対して枠をどう確保するかは、サロン予約枠の組み方で片付けの時間まで含めて整理しています。
5. 姿勢別の順番を体系で学べる講座
順番を組み替えられるようになるには、まず姿勢ごとの手技をひととおり手の内に入れておく必要があります。仰向け・うつ伏せ・横向き・座位のそれぞれで何ができるかが分かっていれば、当日の並べ替えは選ぶだけの作業になります。
グローバルボディケア総合学院のタイ古式メディカルセラピー講座は、姿勢別のアプローチを軸に組まれた入門講座です。実技修業科目は仰向け調整、うつ伏せ調整、座位調整、パームプレス・フットプレス、ストレッチ。理論修業科目にはタイ古式マッサージの歴史、施術の特徴、5つの作用が含まれます。
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衣服を着たまま行える手技が中心のため、着替えの時間を組み込まずに済みます。座位で成立する工程が多い点も、短い枠を作りたいときの選択肢を増やしてくれます。
6. よくある質問
順番を変えると、施術の質は落ちますか
体位の往復が増えず、導入と仕上げが前後に残っていれば、質が落ちる組み替えにはなりません。順番は段取りの都合で決まっているため、その都合を崩さない範囲であれば自由に組めます。
部位のリクエストが複数入ったときはどうしますか
すべてに応えようとせず、同じ体位でまとめられるものを優先します。うつ伏せと仰向けにまたがる要望が3つ以上あるときは、どれを今日の中心にするかを先に確認しておくと、配分で迷いません。
体位変換にかかる時間を短くできますか
短縮より、回数を減らすほうが確実です。タオルの掛け直しと声かけを省くと相手の不安につながるので、1回あたり2〜3分は確保したまま、往復そのものを1回に収める組み方を考えてください。
メニューの組み立てを相談できますか
修了後も、就職や開業に関する相談、備品購入のサポートを受けられます。詳しくは就職&開業サポートをご覧ください。



