受け手の湿布・絆創膏・カイロ:剥がさず避ける範囲と聞き方
2026/09/30
受け手が肩に湿布を貼ったまま来る、指に絆創膏を巻いている、腰に貼るカイロを付けている。サロンではよくあることですが、そのまま施術に入ると、オイルで端が剥がれたり、上から押してしまったりします。貼ってあるものは、剥がさずに周りを避けるものと、受け手に自分で剥がしてもらうものの2つに分けて扱うと迷いません。
この記事では、予約時に聞く1問、避ける範囲の決め方、施術中と施術後に起きることへの備えを、数字を添えて整理します。なお、セラピストは貼っている理由を尋ねたり、体の状態を判断したりはしません。扱うのは、施術をどう組み立てるかだけです。
目次
1. 受け手が貼って来るものは4種類、扱いは2つに分ける
受け手が体に貼って来るものは、おおむね湿布・絆創膏・テーピング・貼るカイロの4種類です。このうち3つは剥がさずに避け、1つは受け手に剥がしてもらいます。
剥がさずに避ける3つ
- 湿布:市販品では縦10×横14センチ前後の大きさがよく見られます。肩・腰・膝に多く貼られています。
- 絆創膏:標準的なもので幅2センチ弱・長さ7センチ前後です。指、手の甲、足の指に多く見られます。
- テーピング:膝や足首、手首など、関節の周りに細長く貼られていることが多いものです。
この3つは、医師の指示で貼っている場合があります。剥がしたあと貼り直せないものもあります。施術者から「剥がしてください」とは言わず、貼ったまま周りを避けて組み立てます。医師から貼るよう言われているものは、受け手が剥がしてもよいと言っても、主治医の指示を優先してもらいます。
受け手に剥がしてもらう1つ
貼るカイロは、標準的な大きさで縦13×横10センチ前後です。服の上から貼る使い方が多く、施術のために服を脱いだりタオルに替えたりすると外れます。また、うつ伏せや仰向けになると体の下敷きになり、ベッドとの間で押しつけられます。パッケージにも低温やけどの注意書きがあります。
そのため、着替えの前に受け手自身に剥がしてもらい、ごみ箱か受け手の袋へ入れてもらいます。施術者が受け手の体から剥がすことはしません。
判断に迷ったら
どちらに当たるか分からないもの(医療用のパッチなど)は、剥がさずに避ける側で扱います。剥がすかどうかは受け手に任せ、施術者は決めません。
2. 予約時とカウンセリングで聞くこと
予約の確定連絡に添える1問
「当日、湿布・絆創膏・テーピング・貼るカイロなど、体に貼っているものがあれば教えてください」
この1問は、施術の組み立てを前もって考えるためのものです。貼っている理由は尋ねません。返事がなくても、当日のカウンセリングでもう一度聞きます。
カウンセリングで確かめる3つ
- 場所:背中・腰・肩・膝など、体のどの面か
- 大きさ:手のひらより大きいか、小さいか
- 医師の指示で貼っているか:「はい」か「いいえ」だけを聞きます
場所は、シートの人体図に丸を付けてもらうのが早く、30秒ほどで済みます。聞き取りの時間配分や項目の組み方は、カウンセリングシートの項目で整理しています。
残すのは1行だけ
「右肩甲骨の上に湿布(手のひら大)・医師の指示あり」のように1行だけ書き留めます。同じ場所に続けて貼って来る受け手もいるので、次回の予約時の1問と合わせて見返せます。薬の名前や、貼っている理由は書きません。
3. 避ける範囲は縁から3センチ、オイルを近づけない
避ける幅の決め方
貼ってあるものの縁から周囲3センチを、手を当てない範囲にします。これはサロンで決めておく目安です。縦10×横14センチの湿布なら、避ける範囲は縦16×横20センチ、約320平方センチになります。手のひら全体(縦13×横8センチ)の約3枚分です。
3センチ空けるのは、手のひらや指が滑って、オイルが縁に届くのを防ぐためです。オイルが縁に付くと粘着が弱まり、端から浮きやすくなります。
避ける範囲でしない3つの動作
- 上から押す
- 上からさする・なでる
- 縁をまたいで手を滑らせる(ストロークは縁の3センチ手前で止め、反対側から入り直す)
タオルを乗せて目印にする
避ける範囲には、フェイスタオル(34×80センチ)を折って上に軽く乗せておきます。こうしておくと、流れで手が入るのを防げます。どこを覆いどこを出すかの考え方は、施術中のタオルの露出範囲で紹介しています。
工程の組み替え
60分の施術のうち、うつ伏せは25分前後です。背中の中央で手のひら3枚分を避けると、背中の工程はその周りだけになります。避ける面積が背中の半分を超える場合は、背中の工程を短くします。空いた時間は、受け手がカウンセリングで挙げたほかの部位に回します。
湿布を貼っている場所について、受け手から「そこを強めに」と言われることもあります。その場合も上から押さず、強さを上げない部位として扱います。上げない部位の決め方は、施術で「もっと強く」と言われたら?圧を上げる段階と上げない部位で整理しています。
体位ごとの注意
- うつ伏せ:背中や腰の湿布は上を向きます。手を当てないことにだけ気をつけます。
- 仰向け:背中や腰の湿布が体の下になり、シーツと擦れて端がめくれることがあります。体位変換のあとに「貼っているところは気になりませんか」と一言聞きます。
- 関節のテーピング:膝や足首を曲げ伸ばしする工程では、テーピングが引っ張られます。その関節を動かす工程は省きます。
4. 施術中に剥がれかけたとき、施術後に確かめること
剥がれかけたら手を止め、受け手に任せる
端が浮いてきたら手を止め、「端が少し浮いてきました」と伝えます。押さえ直すか剥がすかは受け手に決めてもらい、施術者は触れません。オイルの付いた手で押さえると、かえって粘着が弱まります。受け手が押さえ直すときは、ティッシュを渡します。
赤み・かゆみ・熱さを言われたら
貼っている場所やその周りについて、赤い、かゆい、熱い、ヒリヒリすると言われたら、その周りの施術はやめます。原因を推測して伝えることはしません。症状が続いていると受け手が話す場合は、皮膚科などの医療機関の受診をすすめます。貼るカイロを付けたまま横になってしまい、熱さを訴えた場合も同じ扱いです。
施術後に確かめる2つ
- 貼ってあったものが、施術前と同じ状態で残っているか。受け手と一緒に5秒ほど見ます。
- 縁の周りのオイルの拭き取り。縁に触れないよう、3センチ手前までを押さえ拭きします(1か所5秒)。
片付けの前には、剥がれたものがシーツやタオルに付いていないかも見ておきます。
万一に備えて
どれだけ気をつけても、施術中の思わぬ事故をゼロにはできません。当学院には、セラピストの施術中の事故に備える補償の制度があります。内容はセラピスト賠償責任補償制度で紹介しています。
5. オイルを使う全身の施術を学ぶなら:バリニーズトリートメント講座
貼ってあるものを避けながら施術を組み立てるには、どの工程がどの部位に触れるかを把握していることが前提になります。バリニーズトリートメント講座は、道具を使わずオイルと手だけで、全身を部位ごとに進める講座です。
実技で扱う工程
背面下肢、背面・背中、前面、腹部、腕・手、肩・デコルテ・頸部・顔・頭部の各部位を扱います。手技は、筋通し、エフルラージュ、アキュプレッシャー、パンプレッサーを学びます。工程が部位ごとに分かれているので、避ける範囲がある日に、どの工程を短くするかを考えやすい構成です。
理論で扱う科目
「施術オイル」「禁忌・注意事項」「施術者の注意事項」「タオルの使用について」など8科目があります。17世紀のジャワの王族に由来するとされる歴史から学びます。
教材・価格・期間
- 教材:DVD2枚、実技テキスト2冊、理論テキスト1冊、副読本、マカダミアナッツオイル、確認問題
- 価格:通常77,000円のところ、資格支援特別価格29,900円(月々1,414円)。資格支援特別価格は時期により変動します。
- 期間:標準2ヶ月〜8ヶ月、最長1年
- 認定証:2枚(GBC・ITSA)
- 確認問題は100点満点で80点以上が合格です。再試験は無料で何度でも受けられます。質問はメールで受け付けています。
6. よくある質問
湿布は剥がしてから施術したほうがよいのでは?
剥がすかどうかは受け手が決めます。医師の指示で貼っているものは剥がさないよう伝え、周りを避けて施術を組み立てます。
背中一面に貼っているときはどうしますか?
避ける範囲が背中の半分を超えるなら、背中の工程を短くし、ほかの部位に時間を回します。始める前に受け手に伝え、了承を得ておきます。
施術後に貼るカイロをまた貼りたいと言われたら?
服を着てから、服の上に受け手自身で貼ってもらいます。オイルを拭き取った肌に直接貼ることはすすめず、施術者が貼ることもしません。
貼っている場所が痛いので揉んでほしいと言われたら?
上から押したりさすったりはしません。セラピストは診断を行わないため、痛みの原因についてもお答えしません。痛みが続いている場合は、医療機関の受診をすすめます。
指に絆創膏を巻いている人のハンド施術は?
その指は先から付け根までを避け、ほかの指と手のひらで組み立てます。握る工程では、その指に手が掛からないよう持ち方を変えます。


