着衣で受ける施術:受け手に伝える服の条件と貸し出し着
2026/10/01
オイルを使わず、服の上から触れる施術では、受け手が着て来る服がそのまま施術の条件になります。硬いジーンズでは膝を曲げる工程が組みにくく、ベルトのバックルはうつ伏せで体の下に当たります。フードの付いた服は、仰向けになると首の下で塊になります。
この記事では、動きを妨げる服の4つの条件、予約の確定連絡に添える1行、当日の見分け方、貸し出し着の数と着替えの時間を、数字を添えて整理します。受け手に服を指定するのではなく、組み立てやすい服を前もって知らせておく、という考え方で進めます。
目次
1. 着たまま受ける施術では、着て来る服で組み立てが変わる
タイ古式、整体、チェアでの施術などは、受け手が服を着たまま受けるのが一般的です。着替えがいらない分、受け手が着て来た服がそのまま施術の条件になります。組み立てを妨げる服は、次の4つの条件で見分けられます。
条件1:生地が伸びない
硬いデニムや厚手の綿パンツは、膝を曲げる、脚を持ち上げるといった工程で生地が突っ張ります。受け手も動きにくく、工程を浅くするか省くことになります。
条件2:金具が付いている
ベルトのバックル、ジーンズの金属のボタン、背中のファスナーやボタンなどです。うつ伏せや横向きになると体とマットの間に挟まり、当たって痛いと言われる原因になります。
条件3:裾の幅が狭い・丈が短い
タイトスカートや丈の短いスカートでは、膝を立てる、脚を横に開くといった工程で裾が上がります。受け手が気にして力が入るため、その工程は組めません。
条件4:首まわりにかさばるものがある
フード、厚手のタートルネック、大きな襟などです。仰向けになると首の下で厚さ数センチの塊になり、首の位置が定まりません。
この4つに当てはまらない服、つまり伸びる素材の長袖と長ズボンで金具がないものなら、どの工程もそのまま組めます。
2. 予約の確定連絡に添える1行と、当日の見分け方
確定連絡に添える1行
「当日は、伸びる素材の長袖・長ズボンなど、締めつけの少ない服でお越しください。ジーンズやベルト、スカートは避けていただくと施術が組みやすくなります。」
伝えるのはこの1行だけです。これは服を指定するためではなく、受け手が当日の服を選ぶときの目安として添えます。初回だけでなく、2回目以降の確定連絡にも同じ1行を入れておくと、仕事帰りに来る受け手が着替えを持って来やすくなります。
当日は4つを10秒で見る
受け手が着いたら、上着を預かる前に、生地・金具・裾・首まわりの4つを見ます。かかるのは10秒ほどです。当てはまるものがあれば、次の二択を受け手に選んでもらいます。
- 貸し出し着に着替える(3〜5分)
- 着て来た服のまま受け、当てはまる工程を省く
どちらを選んでも施術はできることを、先に伝えます。服の選び方を責める言い方はしません。
省く工程の目安
ジーンズなら膝を深く曲げる工程、スカートなら脚を開く工程、フードの付いた服なら仰向けで首に触れる工程、という具合に、当てはまる条件に対応する工程だけを省きます。省いた時間は、受け手がカウンセリングで挙げたほかの部位に回します。
3. 貸し出し着は上下6組、着替えは5分の枠に収める
用意する数と素材
貸し出し着は、伸びる素材の長袖の上衣とゆったりした長ズボンを上下セットで用意します。1日4件の施術なら、洗い替えと予備を含めて6組あれば足ります。サイズはM・L・LLの3つをそろえると、ほとんどの受け手に合います。
素材は綿とポリエステルの混紡が扱いやすく、室内干しでも2〜3時間で乾きます。綿100%は6〜8時間かかるので、1日のうちに洗って回すには向きません。
着替えの時間
着替えにかかる時間は、上下とも着替えると3〜5分、ズボンだけなら1〜2分です。ベルトを外してポケットの中身を出すだけなら30秒ほどで済みます。2回目以降の90分枠では、受け入れと着替えに5分前後を見込んでいます。上下とも着替える場合はこの5分をほぼ使い切るので、それ以上は延ばさないよう、着替えの場所を先に整えておきます。
着替えの場所と脱いだ服
着替えの場所は半畳(90センチ四方)あれば足ります。脱いだ服は受け手が自分で畳み、幅35×奥行25センチ前後のカゴに入れてもらいます。施術者は受け手の服に触れません。脱いだものを受け手自身に置いてもらう考え方は、足の施術で靴下とストッキングはいつ脱ぐ?置き方とはき直す場所でも同じです。上着はフックに掛けてもらいます。カゴやフックの位置は、サロンの待合スペースの作り方で紹介しています。
貸し出し着を用意しない場合
貸し出し着を置かないサロンもあります。その場合は、確定連絡の1行を必ず入れます。当日条件に当てはまる服で来た受け手には、工程を省く側で組み立てることを伝えます。
4. ベルト・ポケット・医療用のサポーターの扱い
ベルトは受け手に外してもらう
ベルトは、施術を始める前に受け手自身に外してもらいます。施術者が受け手の服の金具やボタンに手をかけることはしません。外したベルトは丸めて、着替えのカゴに入れてもらいます。
ポケットの中身を出してもらう
鍵、スマートフォン、財布などがポケットに入ったままだと、横向きやうつ伏せで体の下に当たります。上着を預かるときに「ポケットの中のものは、カゴに出しておいてください」と一言添えます。出してもらうのは受け手自身で、施術者はポケットに触れません。
体位ごとに当たる場所
- うつ伏せ:背中のファスナーやボタン、ベルトのバックル、前ポケットの中身
- 仰向け:フード、大きな襟、後ろポケットの中身
- 横向き:腰の横のポケット、ジーンズの金属のボタン
体位を変えるたびに「当たるところはありませんか」と一言聞きます。当たると言われたら、その体位のあいだだけ、タオルを1枚挟んで高さを逃がします。
医療用のサポーターやコルセット
医師の指示でサポーターやコルセットを着けている受け手もいます。外すかどうかは受け手に決めてもらい、施術者からは外すよう言いません。主治医から指示がある場合は、その指示を優先してもらいます。着けたままの場合は、その部位を避けて組み立てます。
締めつけやしびれを言われたら
施術中に服の締めつけで痛い、しびれると言われたら、すぐに手を止め、楽な姿勢に戻ってもらいます。服を緩めるかどうかは受け手に任せます。しびれや痛みがしばらく続くと受け手が話す場合は、その日の施術を終え、医療機関の受診をすすめます。セラピストは原因を判断しません。
5. 服を着たまま行う施術を学ぶなら:タイ古式マッサージ講座
着衣のまま受けてもらう施術では、どの工程でどの体位になり、どこに体重がかかるかを把握していることが、服の条件を見分ける前提になります。タイ古式マッサージ講座は、受け手が服を着たまま受けられ、オイルを使わない施術を学ぶ講座です。2,500年以上前にタイの仏教寺院で生まれたとされる伝統的な手技を扱います。
実技で扱う工程
仰向け、横向き、うつ伏せ、座位の4つの体位での調整と、パームプレス、フットプレス、フィンガーサークル、パームサークル、ストレッチを学びます。体位ごとに工程が分かれているので、受け手の服に合わせてどの工程を省くかを考えやすい構成です。
理論で扱う科目
「タイ古式マッサージの歴史」「センについて」「スタイル」「禁忌事項」「解剖学」などがあります。
教材・価格・期間
- 教材:DVD3枚、実技テキスト3冊、理論テキスト、筋肉の名前としくみ事典、確認問題
- 価格:通常143,000円のところ、資格支援特別価格32,500円(月々1,537円)。資格支援特別価格は時期により変動します。
- 期間:標準3ヶ月〜1年、最長1年
- 認定証:2枚(GBC・ITSA)
- 確認問題は100点満点で80点以上が合格です。再試験は無料で何度でも受けられます。質問はメールで受け付けています。
整体の手技を学ぶ講座としては、整体トッププロエキスパート講座もあります。当学院の講師については、講師紹介で紹介しています。
6. よくある質問
スカートで来た受け手にはどうしますか?
貸し出し着に着替えるか、脚を開く・膝を立てる工程を省いて受けるかを選んでもらいます。どちらでも施術はできることを先に伝えます。
ジーンズのまま受けたいと言われたら?
そのまま受けてもらってかまいません。膝を深く曲げる工程は浅くするか省き、ベルトだけは外してもらいます。
貸し出し着の洗濯はどのくらいの頻度ですか?
1回使うごとに洗います。6組あれば、1日4件の施術でも洗い替えが回ります。
下着も着替えてもらう必要がありますか?
着替えてもらうのは上衣とズボン・スカートまでで、下着は替えてもらいません。金具が当たると言われた場合は、タオルを挟んで高さを逃がします。
服の上から触れても痛いと言われたら?
手を止め、その部位は避けて組み立てます。セラピストは診断を行わないため、痛みの原因についてはお答えしません。痛みが続いている場合は、医療機関の受診をすすめます。


