施術ベッドの点検はどこを見るか
2026/09/10
施術ベッドは、買ったときに一度組み立てたら、あとは毎日使うだけになりがちです。ところがベッドは、受け手が横になっている60分のあいだ、ずっと荷重を受け続けています。しかも受け手の体重だけではありません。施術者が上から圧をかければ、その分もすべて脚が受け止めています。
点検が後回しになる理由ははっきりしていて、どこを見ればよいのか決まっていないからです。「なんとなく大丈夫そう」で毎日が過ぎ、ある日ネジが緩んで片側が沈みます。受け手が乗っている最中に起きたら、施術どころではありません。
必要なのは、見る場所と周期を決めてしまうことです。毎日10秒でよいもの、月に1回5分かけるもの、半年に1回でよいもの。この三つに分けておけば、点検は習慣になります。ここでは何キロを支えているのかを数えるところから始めて、ネジ、脚、表面の順に見ていきます。
目次
1. ベッドが支えている重さを数える
静止した状態の計算
施術ベッドの耐荷重は、据置型の木製で200キロから300キロ、持ち運べる折りたたみ式で150キロから250キロが目安です。この数字だけを見ると余裕があるように思えます。
実際にかかる重さを数えてみます。折りたたみ式のベッド本体が12キロから17キロ、木製だとこのくらいです。アルミ製なら10キロから14キロ。ここに受け手が55キロで横になると、合計70キロ前後。脚は4本なので、単純に割れば1本あたり17キロ台です。耐荷重の数字と比べれば、まったく問題ありません。
施術者の圧が加わると変わる
問題は、この計算が「誰も触っていない状態」の話だということです。うつ伏せの背中に体重を乗せて押すとき、施術者は上半身の20キロから30キロをベッドに預けています。しかもその力は真ん中ではなく、施術者が立っている側の縁にかかります。
つまり、瞬間的には片側の2本の脚に荷重が集中します。1本あたり40キロを超えることも珍しくありません。さらに、体重をかける動作は1回の施術で何十回も繰り返されます。ネジが緩むのは、この繰り返しが原因です。
ベッドの高さを自分の身長に合わせている場合はなおさらです。施術ベッドの高さの合わせ方で低めに設定していると、上から押し込む姿勢になりやすく、縁にかかる力が大きくなります。
開閉の回数も数える
折りたたみ式は、使うたびに開いて畳みます。1日4件で朝に開いて夜に畳むだけでも、年間で700回以上。出張で毎回持ち運ぶなら、それ以上です。蝶番と留め具は、この回数だけ動いています。
2. 毎日・月1回・半年に1回に分ける
毎日は10秒
朝いちばん、ベッドを開いたときか、シーツを掛ける前に、ベッドの縁を両手で持って前後に揺すります。10秒で終わります。見ているのは「揺れるかどうか」ではなく「昨日と違う揺れ方をしていないか」です。毎日やっていれば、変化はすぐ分かります。
音も手がかりになります。きしむ音が新しく出てきたら、その日のうちにネジを見ます。
月1回は5分
月に1回、ネジとボルトを全部締め直します。折りたたみ式なら留め具は6か所から10か所。1か所20秒として、8か所で3分ほど。残りの2分で脚のゴムキャップと天板の裏を見ます。
日を決めておくのが続けるコツです。月初の営業日でも、給料日でも構いません。サロンの電源とコードの整え方でも、電源タップのほこりを半年に1回拭くことをすすめました。周期の決まっている作業はまとめて同じ日にやると忘れません。
半年に1回は買い替えを考える日
半年に1回は、直すのではなく「あと何年使えるか」を見る日にします。表面のひび割れ、クッションのへたり、ゴムキャップの摩耗。これらは締め直しでは戻らないので、交換か買い替えかを判断します。
ここまでを表にして施術室に貼っておくと、自分以外の人が見ても分かります。
3. ネジと脚を見る
締める順番を決める
ネジは、片側から順番に締めるのではなく、対角線で締めていきます。天板の四隅なら、左上、右下、右上、左下の順です。片側から締めると、その側だけが先に引き寄せられて天板がゆがみます。
力いっぱい締めるのも避けてください。木製の脚は、締めすぎるとネジ穴の内側が削れて、次からは締めても効かなくなります。手応えが変わったところで止めるのが目安です。
緩みが戻る場所は要注意
毎月同じ場所ばかり緩むなら、その穴はもう傷んでいます。少し太いネジに替えるか、木工用の充填材で埋めてから入れ直します。それでも戻るなら、その脚は交換時期です。
脚の先を見る
脚の先には直径3センチから4センチのゴムキャップが付いています。これがすり減ると、金属や木の脚が床に直接当たります。床が傷むだけでなく、滑りやすくなって横方向のぐらつきが出ます。ゴムキャップだけなら数百円で交換できる部品です。
床が水平でない場合、4本のうち1本が浮きます。これに気づかず使っていると、浮いている脚の対角側に荷重が集中します。薄いゴム板を1枚かませれば解決します。施術スペースの広さの目安で置き場所を決めたら、置いた場所で必ず4本が着いているか確認してください。
キャスター付きの椅子
施術者が座る椅子も同じです。キャスターは5本脚のものを選び、月1回、車輪に髪の毛や糸くずが巻き付いていないかを見ます。巻き付いたまま使うと、片方だけ動きが渋くなって座面が傾きます。
4. 表面とクッション、買い替えの目安
合皮は端から傷む
施術ベッドの表面はほとんどが合成皮革です。オイルとアルコールに繰り返しさらされると硬くなり、ひび割れが出ます。割れが始まるのは必ず端か角で、折りたたみ式なら折り目の部分です。真ん中がきれいでも、端が割れていれば進行しています。
拭き取りは、アルコールを直接吹きかけるのではなく、布に含ませてから拭くほうが表面への負担が少なくなります。オイルが残ったまま翌日に持ち越さないことが、いちばん長持ちさせる方法です。
クッションのへたり
クッションの厚みは新品で5センチから7センチあります。へたってくると2センチから3センチまで沈み、下の板の硬さが伝わるようになります。手のひらで真ん中を押して、指がすぐ底に当たる感じがしたら交換時期です。
厚みが減ると、うつ伏せのときに胸や骨盤の当たりが強くなります。タオルを重ねて補うこともできますが、それは応急処置です。
買い替えを決める三つの条件
次のどれかに当てはまったら、修理ではなく買い替えを検討します。ネジを締め直しても1週間で揺れが戻る。合皮のひび割れが受け手の肌に触れる範囲まで来ている。クッションを押すと底に当たる。
備品の買い替えについては、当学院の20大特典に備品購入のサポートが含まれています。卒業後もこのサポートを使えます。
もし施術中に不具合が起きたら
受け手が乗っているあいだにぐらつきや沈み込みが起きたら、その場で手を止め、受け手にベッドから降りてもらいます。降りるときは急がず、横向きになってから座り、それから立ってもらってください。転落や打撲があった場合は施術を中止し、痛みや腫れが続くようなら医療機関の受診をすすめます。セラピストは怪我の程度を判断する立場にありません。記録に残すのは、起きた事実と施術を中止したことまでにとどめます。
5. ベッドを使う施術を学べる講座
ベッドへの荷重がいちばん大きくなるのは、全身にオイルを使って長く続ける施術です。グローバルボディケア総合学院のバリニーズトリートメント講座は、その代表にあたります。
17世紀のジャワ王族に由来する手技で、マシンを一切使わないオールハンドの施術です。実技は背面下肢、背面と背中、前面、腹部、腕と手、肩・デコルテ・頸部・顔・頭部と全身におよび、筋通し、エフルラージュ、アキュプレッシャー、パンプレッサーといった手技を扱います。うつ伏せと仰向けの両方でベッドを長時間使い、体重を乗せる場面も多くなります。
理論には「施術者の注意事項」と「タオルの使用について」がそれぞれ独立した科目として置かれています。手技だけでなく、施術する側の構えと道具の扱いを分けて学べる構成です。ほかに「バリニーズトリートメントとは」「歴史」「特徴」「施術オイルについて」「専門用語」「禁忌・注意事項」があります。
教材はオリジナルDVD2枚、実技テキスト2冊、理論テキスト1冊、からだのしくみ事典(副読本)、マカダミアナッツオイル、確認問題。標準学習期間は2ヶ月から8ヶ月で、最長1年まで延長できます。修了すると当学院とITSAの認定証2枚が発行されます。試験料・認定料・送料・更新料はすべて無料で、確認問題は100点満点中80点以上で合格、再試験は無料で回数制限がありません。
受講料は通常77,000円のところ、資格支援特別価格29,900円(61%OFF)です。クレジットカードは24回までの分割払いに対応しており、24回払いなら月々1,414円になります。なお資格支援特別価格は時期により変動します。
6. よくある質問
耐荷重は体重より大きければ安心ですか
体重だけで判断しないでください。施術者が上から押す力が加わるため、実際にかかる荷重は受け手の体重より大きくなります。体重の2倍を目安に余裕を見ておくと安心です。
点検に工具は要りますか
付属の六角レンチかプラスドライバー1本で足ります。ベッドを買ったときに付いてきた工具を、なくさないようベッドの近くに置いておくのがおすすめです。専用サイズのことが多く、あとから探すと手間になります。
中古のベッドを買うときはどこを見ますか
ネジ穴の状態と、合皮の折り目です。写真では分かりにくい部分なので、可能なら実物を見せてもらってください。天板のきれいさより、脚の付け根がしっかりしているかのほうが重要です。
出張で毎回運ぶ場合、点検は増やすべきですか
月1回ではなく、2週に1回に増やしてください。持ち運ぶベッドは、開閉に加えて移動中の振動も受けます。運ぶ回数が多いほど留め具は緩みます。
ベッドを畳んだまま保管するときの注意はありますか
立てかけて保管するときは、必ず壁にもたせかけて倒れないようにします。人の通り道に立てかけないでください。また、直射日光の当たる場所に置くと合皮の劣化が早まります。



