施術の途中でお手洗いに立たれたら|中断と再開の手順
2026/09/07
施術の途中で「すみません、お手洗いに」と言われることがあります。60分の施術で毎回起きるわけではありませんが、年に何度かは必ず起きます。そのときに迷わず動けるかどうかで、そこから先の20分から30分の進み方が変わります。
困るのは、止めること自体ではありません。オイルが乗ったまま起き上がってもらってよいのか、タオルはどうするのか、戻ってきたらどこから再開するのか、終了時刻はずらすのか。判断する項目が一度に4つ出てくることです。
この記事では、中断が起きたときの手順を、止めるとき・離れている間・戻ってからの3つに分けて整理します。あらかじめ決めておけば、その場で考える必要がなくなります。
目次
1. 申し出があったら必ず止める
まず判断を一本化します。受け手から申し出があったら、残り時間が何分であっても止めます。ここで迷わないことが、この記事のいちばんの要点です。
「あと5分で終わりますから」と続けたくなる場面はあります。仕上げに入っていれば、なおさらそう思います。ただ、我慢して受けている5分は、受け手にとって長い5分です。そこまでの55分の印象まで変わってしまいます。止めて再開したほうが、結果として短く済みます。
言い出しにくい人がいることを前提にする
うつ伏せで顔を穴に入れている状態では、声を出すこと自体にためらいが生まれます。実際には、我慢していても言い出せない人のほうが多いと考えておいたほうが安全です。
そこで、施術者の側から確認する場面を1回だけ作ります。うつ伏せから仰向けに体位を変えるタイミングです。すでに体を動かしてもらう場面なので、「このまま仰向けにいきますが、その前に一度立たれますか」と添えるだけで済みます。
施術前の案内で頻度は下がる
中断そのものを減らしたいなら、施術前の案内が効きます。着替えの前に一度声をかけておけば、当日の申し出はかなり減ります。
受け手の側の準備については、腸もみを受ける前の準備|食事と服装のポイントで、水分の摂り方と合わせて整理しています。予約時の案内文を作るときの参考にしてください。
ただし、案内をしていても起きるときは起きます。減らす工夫と、起きたときの手順は別に用意しておきます。
2. 止めるまでの10秒でやること
申し出を受けてから受け手が起き上がるまでに、施術者がやることは3つです。順番も決まっています。合計で10秒程度、長くても15秒です。
手を離す、覆う、拭く
- 触れている手を、圧をかけずにゆっくり離す
- 開けていたタオルを閉じて、体を覆う
- 施術部位に残ったオイルやジェルを、タオルで軽く押さえて取る
3番目を飛ばすと、着替えや衣類にオイルが移ります。全部を拭き取る必要はありません。手のひらで押さえて表面の量を減らすだけで十分です。触れていた部位1か所につき5秒ほどで終わります。
施術者の手も拭く
自分の手にもオイルが残っています。この状態でドアノブや電気のスイッチに触れると、あとで拭く手間が増えます。ベッドの脇にペーパータオルを1枚出しておき、手のひらと指の間を拭きます。30秒あれば足ります。
受け手を待たせている感覚になりますが、実際には受け手が上着を羽織る時間と重なるので、待たせることにはなりません。
ベッドから降りる支度
履物は、ベッドの足側に、ベッドの縁から30センチ以内の位置に置きます。降りる人の視界に入る位置です。前もってそこに置いておけば、中断のたびに探す必要がありません。
足元が見えにくい明るさで施術している場合は、この段階で照明を一段上げます。降りてもらう間だけの操作です。
3. 離れている3分から5分の使い方
受け手が施術室を出てから戻るまで、おおよそ3分から5分です。お手洗いそのものは2分ほどですが、移動と手洗い、衣類を整える時間が加わります。自宅サロンで施術室と洗面所が離れていれば、往復だけで1分以上かかります。
施術者はベッドを整える
この3分から5分は、待つ時間ではなく整える時間です。やることは3つあります。
- 使ったタオルを畳み直し、体にかける分を1枚増やす
- オイルのボトルの蓋を閉め、ワゴンの上を元の配置に戻す
- 次に触れる部位を、頭の中でもう一度確認する
掛け物を1枚増やすのは、離れている間にベッドの上のタオルが冷えるためです。戻ってすぐ同じ枚数で横になると、冷たく感じます。
タオルの扱い方そのものについては、施術中のタオルの露出範囲|開ける幅と戻すタイミングで、開ける範囲と戻す手順を整理しています。中断のときも、開ける幅の考え方は同じです。
電話は取らない
中断中に電話が鳴ることがあります。受け手が席を外している今なら出られる、と思いがちですが、取らないほうが無難です。話が長引けば、戻ってきた受け手を待たせることになります。営業時間中は留守番電話にしておき、折り返しは片付けの時間に回します。
体調の申し出だった場合
お手洗いではなく、気分の悪さや頭痛を理由に席を立たれた場合は、対応が変わります。施術はそこで中止し、上体を起こして休んでもらいます。再開の予定は立てません。
このとき、原因を推測して伝えないでください。セラピストは体調の原因を判断する立場にありません。「うつ伏せが長かったからですね」といった言葉も、断定として受け取られます。様子が続くようであれば、医療機関の受診をすすめる形にとどめます。
4. 戻ってからの再開と時間の数え直し
戻ってきたら、いきなり横になってもらわず、一度ベッドの縁に腰かけてもらいます。座った状態で30秒ほど置いてから、横になる姿勢に移ります。移動で体が起きているため、そのまま伏せると呼吸が落ち着かないまま再開することになります。
再開位置は「一つ手前」から
中断前に触れていた部位の、一つ手前から再開します。同じ部位のいちばん最後の一手から入ると、受け手の側では「途切れたところ」の記憶が飛んでいるため、唐突に感じられます。
具体的には、その部位のはじめの一手をもう一度置き直してから進みます。時間にして30秒から1分の戻りです。この1分を惜しむと、流れが戻りません。
時間の数え直しは二択にする
中断で5分使ったとき、選択肢は2つしかありません。
- 終了時刻を5分後ろにずらす
- 残りの部位から1か所を落として、予定どおりの時刻に終える
どちらを選ぶかは、次の予約が入っているかどうかで決まります。後ろが空いていれば前者、詰まっていれば後者です。迷ったら受け手に聞きます。「5分延ばすこともできますが、このあとのご予定はいかがですか」という一言で決まります。
落とす部位を決めるときは、仕上げの工程は残します。終わり方の設計と起き上がりの手順については、施術の終わり方|仕上げから見送りまでの流れにまとめています。中断があった日も、締めくくりの手順は変えません。
記録は1行で足りる
施術記録には、中断があったことと、その分数だけを残します。「中断5分・お手洗い」で十分です。理由を細かく書く必要はありません。次回の予約枠を組むときに、この1行が判断材料になります。
5. 全身の施術を基礎から学べる通信講座
中断への対応が難しくなるのは、全身をオイルで扱う施術のときです。触れている面積が広く、着替えを伴うため、止めるときに戻す手順が増えます。逆に言えば、全身の施術を一通り学んでおくと、どの場面で中断が起きても段取りが組めるようになります。
グローバルボディケア総合学院のメディカルボディ痩身+ボディ部位マイスター W講座は、全身を扱う施術と、部位ごとに区切って行う施術の2つを1講座で学べるセット講座です。
学べる内容
- セサミオイルを使った全身のトリートメント(うつ伏せ・仰向けの両方)
- 首、肩、腰、背中、腕、足首、デコルテ、フェイスラインの部位別の手技
- ジェルを使った施術の進め方
- 解剖生理学の基礎と、施術を控えるケースの見分け方
教材と認定証
オリジナルDVD3枚、実技テキスト3冊、理論テキスト1冊、筋と骨格の触診術の基本(副読本)、人体筋肉図、人体骨格図が届きます。施術に使うセサミオイルと2種類のトリートメントジェルも教材に含まれています。
修了すると認定証が合計5枚発行されます。試験料・認定料・送料・更新料はすべて無料で、更新料のかからない資格です。希望者には、厚生労働大臣認可 全国整体療法協同組合の認定証も発行できます(有料)。
受講料と期間
標準学習期間は3ヶ月から10ヶ月です。受講料は通常価格140,800円のところ、資格支援特別価格で49,400円(税込)。クレジットカードの24回分割にも対応しています。分割の方法については受講料のお支払方法をご覧ください。
資格支援特別価格は時期により変動します。最新の金額は講座ページでご確認ください。
6. よくある質問
中断のぶんは施術料金から引くべきですか
受け手の都合による中断であれば、通常は引きません。ただし、終了時刻をずらせず、予定していた部位を落とすことになった場合は、そのことを再開前に伝えて了承を得ておきます。あとから説明するより、その場で伝えるほうが納得されます。料金の扱いはサロンごとに決めておき、メニュー表か規約に書いておくと迷いません。
オイルが乗ったまま歩いてもらって大丈夫ですか
床が滑ります。足裏や足首に施術していた場合は、必ず拭き取ってから降りてもらってください。上半身だけであれば、上着を羽織ってもらえば問題ありません。廊下がフローリングであれば、履物を用意しておくことが前提になります。
1回の施術で何度も中断されたらどうしますか
2回目までは同じ手順で対応します。3回以上になる場合は、施術を続けるかどうかを本人に確認します。体調によるものであれば、その日は切り上げて、日を改める判断もあります。回数そのものを問題にせず、続けられる状態かどうかだけを聞いてください。
眠っている受け手が急に起き上がろうとしたら
寝ぼけた状態でベッドから降りると転倒の危険があります。まず声をかけて、座ったまま少し待ってもらいます。目が開いてから立ち上がるまで、1分は見ておいてください。急がせないことが唯一の対策です。
通信講座で全身の施術を身につけられますか
教材のDVDとテキストで手順を確認しながら、ご自宅で練習を重ねる形になります。確認問題は100点満点中80点以上で合格、不合格の場合の再試験は無料で回数の制限もありません。標準学習期間を過ぎても、最長2年まで受講を続けられます。



