施術ベッドの高さの合わせ方|身長別の目安と立ち位置
2026/08/31
施術ベッドの高さを、受け手の体格に合わせて決めていませんか。実際に一日の疲れ方を左右するのは、受け手ではなく施術者側の身長です。高さが2センチ違うだけで、肩の上がり方も腰の丸まり方も変わります。この記事では、大転子を基準にした高さの出し方、身長別のおおよその目安、高さを変えられない現場での調整の仕方、そしてベッドそのものを置かずに組む方法までを、具体的な数字を挙げて整理します。
目次
1. ベッドの高さは受け手ではなく施術者で決まる
施術ベッドは、幅60〜70センチ、長さ180〜185センチ、高さ60〜70センチというサイズで作られているものが大半です。幅と長さは受け手の体格に合わせた寸法ですが、高さだけは事情が違います。ベッドに寝ている相手にとって、床から60センチでも70センチでも寝心地は変わりません。高さが効いてくるのは、その脇に立って手を動かし続ける施術者の側です。
高すぎるときに起きること
ベッドが高いと、手をベッド面に届かせるために肩が上がります。肩が上がった状態では上から圧をかけられないので、腕の力だけで押すことになります。背中側の広い面をなでる工程で腕が先に疲れるなら、まず疑うのは技術ではなく高さです。1件で気づかなくても、1日3件、4件と重なると差が出ます。
低すぎるときに起きること
逆に低いと、腰から上を前に倒して距離を詰めることになります。前傾したまま20分、30分と手を動かす姿勢は、腰まわりに負担が集中します。膝を曲げて腰を落とせば前傾は浅くできますが、今度は脚がもたないため、結局は途中で前傾に戻ってしまいます。
固定脚と昇降式の違い
木製の固定脚タイプは、高さが65センチ前後で固定されているものが多く、あとから変えられません。折りたたみ式には、脚の一部を差し替えて数段階に変えられるものがあります。電動や油圧の昇降式は、おおむね55〜85センチの範囲で動かせます。今使っているベッドがどのタイプで、可動域が何センチあるのかは、高さを考える前に確認しておく必要があります。
2. 大転子を基準にした高さの出し方と身長別の目安
高さを決めるとき、手がかりになる骨があります。太ももの付け根の外側にある、大腿骨の大転子です。腰に手を当てて指を下にずらしていくと、股関節の外側にごつごつした出っ張りが触れます。ここが大転子で、床からの高さはおおむね身長の半分ほどになります。
手首の付け根が触れる高さを探す
まっすぐ立って腕を体側に下ろし、指を伸ばします。このとき手首の付け根がベッド面に軽く触れる高さが、押す工程でも揉む工程でも無理の出にくい範囲です。位置としては大転子よりおよそ10センチ低いあたりになります。ベッドの前に立って腕を下ろし、指先だけが届いて手首が浮くなら高すぎ、手のひら全体が乗って肘が曲がるなら低すぎです。
身長別のおおよその目安
- 身長155センチなら、床から62〜66センチ
- 身長160センチなら、床から64〜68センチ
- 身長165センチなら、床から66〜71センチ
- 身長170センチなら、床から69〜74センチ
- 身長175センチなら、床から71〜76センチ
市販の固定脚が65センチ前後に集中している理由は、この表を見ると分かります。身長160センチ前後の人にはちょうど収まりますが、170センチを超えると下限を割ります。背の高い施術者が既製品をそのまま使うと、最初から数センチ足りない状態で始めることになります。
足元の余白も高さのうち
高さが合っていても、ベッドの脇に立つ場所がなければ意味がありません。長辺の通路は60センチ、頭側は50センチ、足側は40センチが動ける最低ラインです。部屋の寸法とベッドの置き方については、施術スペースの広さの目安と6畳での配置を扱った記事にまとめてあります。平面の配置を先に決めてから、高さを詰めていく順番が結果的に早道です。
3. 立ち位置と肘の角度で高さの過不足を補う
高さが数センチずれていても、立ち方で吸収できる範囲があります。ベッドを買い替えずに済むかどうかは、この調整幅を知っているかどうかで変わります。
足は前後に開く
両足を左右に並べて立つと、体は前後に動きません。手を前に出すたびに腰から折ることになります。足を前後に25〜30センチ開いて置くと、後ろ足の膝を伸ばし前足に体を預けるだけで、手が20センチ前へ出ます。左右の幅は30〜40センチとって、ベッドの長辺と体が斜めに向き合う形にします。うつ伏せの背中を頭側から足側へなでる工程では、この立ち方で足を踏み替えるだけで一続きに動けます。
肘の角度で圧の質が変わる
ベッドがやや低いときは、肘を90〜120度に曲げて手を近くに置き、腕を縮めて使います。細かい調整の効く角度ですが、深い圧はかけにくくなります。ベッドが適正か少し低い程度なら、肘を140〜160度まで伸ばして真上から体を預ける形が取れます。同じ手技でも、肘が何度で使えているかで消耗がまったく違います。
高さが足りないときの優先順位
- まず足を前後に開いて、腰を落とせる余地を作る
- 次にベッドから半歩離れ、腕を伸ばして届く距離に立ち直す
- それでも合わなければ、立つ位置を頭側や足側にずらして角度を変える
3段階を試しても前傾が浅くならないなら、それは立ち方ではなく高さそのものの問題です。当学院では実技科目のなかで体の使い方も扱っています。指導にあたる講師の経歴は講師紹介のページで確認できます。
4. 高さを変えられないときの三つの調整
出張先や自宅の一室など、ベッドの高さをその場で変えられない場面は珍しくありません。そのときに取れる手は三つあります。
相手を上げる
ベッドが低い場合、マットやタオルを重ねて受け手の側を持ち上げます。厚みのあるマットを1枚敷けば3〜5センチ、たたんだバスタオルを重ねれば1枚あたり2センチ前後は稼げます。ただし重ねすぎると寝返りのときに不安定になるため、上げるのは5センチ程度までにとどめます。
自分が下がる、または座る
ベッドが高い場合、施術者が椅子に座って高さを下げます。頭部や顔まわり、手や足先など、その場から動かずに済む工程は座位のほうが安定します。座って行うなら、座面は38〜45センチのものを選び、足裏が床につく状態にします。
体位そのものを変える
高さを詰めきれないときは、寝かせる姿勢を変えるほうが早いことがあります。うつ伏せを横向きに切り替えれば、施術者から見た作業面の位置が変わり、同じベッドでも届く範囲が変わります。うつ伏せがつらい相手への切り替え手順は、体位変換を扱った記事で詳しく整理しています。
布団やマットの上で行う場合
床に直接敷いた布団は、厚みを入れても床から10〜15センチほどです。この高さに立位で向き合うことはできないので、施術者は膝立ちになります。膝立ちのとき、自分の作業面は床からおよそ20〜25センチの位置にきます。膝の下に薄いクッションを敷いておくと、30分続けても膝が痛くなりにくくなります。
なお、施術中に受け手が痛みやしびれを訴えた場合、姿勢や高さの調整で対応しようとせず、その場で施術を中止してください。セラピストは診断を行いません。原因の見立てを伝えることは避け、医療機関で診てもらうよう案内するのが適切です。施術者自身に痛みが続く場合も同じで、道具を見直す前に一度受診をおすすめします。
5. ベッドを置かずに椅子で組むという選択
ここまで高さの合わせ方を見てきましたが、高さの悩みが最初から発生しない組み方もあります。ベッドを使わず、受け手に椅子へ座ってもらう方法です。相手が座った時点で肩と首の位置が決まるため、施術者は自分の立ち位置だけを調整すれば済みます。
椅子で成立させるための寸法
使う椅子の座面は38〜45センチ、受け手の足裏が床につく高さにします。背もたれは低いか、なくても構いません。施術者は椅子の後ろに立ち、前後に足を開いて上半身へ手を届かせます。ベッド1台に必要だった190×275センチの面積が、椅子1脚ぶんに縮みます。着替えも不要なので、施術そのものに使える時間も長くなります。
チェア整体マイスター講座
当学院のチェア整体マイスター講座は、椅子に座ったままの姿勢で首・肩・背中・腕・頭部にアプローチする技術を扱う通信講座です。国内初のプログラムとして構成されています。
実技修業科目には、鎖骨下軽擦、上腕から手首までの両手圧迫、腋窩リンパ手根もみ、肩甲骨四指もみ、肩関節回旋、肩拇指押圧、首筋四指回しもみ、胸鎖乳突筋四指もみ、首筋ローリング、後頭骨際四指押圧、頭部3ライン拇指押圧、耳ほぐし、頭部手刀叩き、首と背中と両腕のストレッチなどが含まれます。座位で完結する工程だけで一連の流れが組めるよう並べられています。
教材はオリジナルDVD1枚、実技テキスト1冊、人体骨格図、人体筋肉図、最終課題、確認問題の一式です。標準学習期間は1ヶ月から3ヶ月で、最長1年まで無料で延長できます。修了すると、GBC認定チェア整体マイスター、一般社団法人ITSA認定チェア整体マイスター、同じくITSA認定メディカルホームドクターセラピスト(登録商標第6290525号)の認定証3枚が発行されます。更新料はかかりません。
受講料は通常55,000円のところ、資格支援特別価格23,500円です。クレジットカードの24回払いなら月々1,111円で、試験料・認定料・送料・更新料はすべて無料、確認問題は100点満点80点以上で合格、再試験は無料で回数制限がありません。なお、資格支援特別価格は時期により変動します。
ベッドと椅子を併用するという考え方
どちらか一方に絞る必要はありません。全身を扱う60分メニューはベッドで、上半身だけの短い枠は椅子で、と使い分ければ、高さの合わないベッドを無理に使い続ける場面そのものが減ります。イベント出店や訪問のように、ベッドを持ち込めない場所でも成立します。
6. よくあるご質問
昇降式のベッドは必ず必要ですか
一人で使い、身長160センチ前後であれば、65センチ前後の固定脚でおおむね収まります。昇降式が要るのは、複数人で1台を共有する場合、身長が170センチを超える場合、座って行う工程と立って行う工程を同じベッドで切り替えたい場合です。55〜85センチの可動域があれば、たいていの組み合わせに対応できます。
身長差のある2人で1台を使うにはどうすればよいですか
昇降式でないなら、背の低いほうに高さを合わせて、背の高いほうが足を前後に開いて腰を落とす形が現実的です。逆にすると、背の低いほうは肩を上げ続けることになり、調整の余地がありません。開始前に高さを直す手間を惜しまないほうが、結果として長く続けられます。
ベッドの高さは受け手には関係ないのですか
寝ている間の快適さには関係しませんが、乗り降りには関係します。床から70センチを超えると、高齢の方は腰かけてから体を持ち上げる動作が必要になります。ベッドの高さを施術者に合わせたうえで、踏み台を1つ用意しておくと、この問題は分けて解決できます。
布団やマットでの施術は、ベッドより体に負担がかかりますか
立位と膝立ちでは使う筋肉が違うため、単純な比較はできません。ただし膝立ちは前傾しやすいため、こまめに座る姿勢を挟むことをおすすめします。長時間続けて体に違和感が残る場合は、姿勢の工夫で押し切らず、医療機関にご相談ください。
技術を学んだ証明は残せますか
当学院の講座は修了時に認定証を発行しています。希望される方には、厚生労働大臣認可(医政第742号)全国整体療法協同組合の認定証も有料で発行しています。詳しくは厚生労働大臣認可 認定証のページをご覧ください。



