腸もみが時計回りな理由|大腸の走行と手順
2026/08/21
腸もみを時計回りに行うのは、大腸が右下腹部から時計回りに一周しているからです。手の動きを大腸の走行に合わせることで、内容物が進む向きと同じ方向にアプローチできます。逆向きに動かすと、内容物の進行方向に逆らう形になります。
この記事では、大腸の4つの区分と手の通り道、圧と速度の目安、始点をどこに置くかまでを順に整理します。セルフケアとして取り入れたい方にも、施術として学びたい方にも役立つ内容です。
目次
1. 腸もみが時計回りな理由
腸もみを時計回りに行う理由は、大腸そのものが時計回りに配置されているからです。仰向けの人を頭側から見たとき、大腸は右下腹部を起点に、右わき腹を上がり、みぞおちの下を左へ横切り、左わき腹を下りて、左下腹部へと一周します。この形をお腹の外側からなぞる動きが、結果として時計回りになります。
大腸の全長は成人でおよそ1.5メートルあります。この1.5メートルが、お腹の外周に沿って四角い枠のように収まっているとイメージすると、手を動かす道筋がつかみやすくなります。
方向が決まっている技術と、決まっていない技術がある
手技には、方向が明確に決まっているものと、比較的自由なものがあります。腸もみは前者です。大腸という具体的な管の走行が土台にあるため、動かす向きに根拠があります。
一方で、背中や脚のケアは筋肉の走行や関節の可動域が基準になるため、方向の考え方が変わります。体の部位ごとに基準が異なることを理解しておくと、複数の技術を学ぶときに混乱しません。全身の手技を体系的に学びたい方は、整体マイスター講座のような入門講座から始める方法もあります。
お腹に触れる前に確認したいこと
腹痛が続いている、発熱がある、お腹に強い張りや違和感があるといった場合は、腸もみを行わずに医療機関を受診してください。妊娠中の方、腹部の手術を受けて間もない方も同様です。自己判断で圧をかけることは避け、まず主治医に相談することをおすすめします。
2. 大腸の4区分と手の通り道
大腸は主に4つの区分に分けられます。上行結腸(じょうこうけっちょう)、横行結腸(おうこうけっちょう)、下行結腸(かこうけっちょう)、S状結腸(エスじょうけっちょう)の4つです。手はこの順にたどります。
4区分の位置と目印
- 上行結腸:右の腰骨の内側から、右のあばら骨の下まで。垂直に上がる区間です
- 横行結腸:右のあばら骨の下から、左のあばら骨の下まで。おへその少し上を水平に横切ります
- 下行結腸:左のあばら骨の下から、左の腰骨の内側まで。垂直に下ります
- S状結腸:左の腰骨の内側から、恥骨に向かって斜めに走ります
4区分をつないだ形は、おおよそ四角形になります。おへそを中心に、その外側を四角くなぞるイメージです。おへそのすぐ周囲には小腸があるため、大腸をたどるときは外周を通ります。
1周にかける時間は約60秒
4区分を1周する時間の目安は約60秒です。上行に15秒、横行に20秒、下行に15秒、S状に10秒という配分が一つの目安になります。これを3周から5周繰り返す構成が基本形です。全体で3分から5分程度の時間になります。
速く動かすほど良いわけではありません。ゆっくり進めるほうが、手のひらの下の状態を感じ取りやすくなります。
3. 圧と速度の目安は1か所3〜5秒
腸もみの圧は、指先が1センチから2センチ沈む程度が目安です。体重をかけて押し込むのではなく、手のひら全体を密着させ、自分の腕の重みを預けるように圧を伝えます。1か所につき3秒から5秒とどまり、ゆっくり離します。
強い圧が適さない理由
お腹には肋骨や骨盤のような硬い保護がありません。背中や脚と同じ感覚で圧をかけると、強すぎることになります。腹部は他の部位より慎重な圧の設計が求められる場所です。
圧の強さを判断する基準は、相手の呼吸です。押した瞬間に息が止まる、あるいは呼吸が浅く速くなる場合は、圧が強すぎます。呼吸が自然に続いている範囲が、その人にとって適切な圧です。
呼気に合わせて圧を入れる
圧を入れるタイミングは、息を吐いているときです。吸っているときは腹部が膨らみ、腹壁に張りが出ます。吐くときは腹壁がゆるむため、無理なく圧が入ります。呼吸1回はおよそ4秒から6秒なので、1か所3秒から5秒という目安は、呼気1回分とほぼ一致します。
手の温度も条件のひとつ
冷えた手で腹部に触れると、相手は反射的に体をこわばらせます。施術に入る前に、両手をこすり合わせるか、温かいタオルで20秒ほど温めておきます。腹部は手の温度差を感じ取りやすい部位です。
4. 始点を左下腹部に置く理由
時計回りの一周を、どこから始めるか。一つの考え方は、左下腹部のS状結腸から始めるというものです。大腸の流れの順序でいえば右下腹部が入口ですが、あえて出口側から先に触れる組み立て方があります。
出口から順に整える考え方
混雑した通路を思い浮かべてください。出口が詰まったまま入口から人を押し込んでも、流れは改善しません。先に出口側の余裕をつくってから、上流に働きかけるほうが順序として自然です。腸もみでも、S状結腸のある左下腹部から始め、下行結腸、横行結腸、上行結腸と逆順にほぐしてから、あらためて時計回りに一周する組み立て方があります。
2段階の構成にする
- 準備段階:左下腹部から反時計回りに1周。約60秒。圧は軽めにして、腹部全体を手に慣れさせます
- 本番段階:右下腹部から時計回りに3周から5周。約3分から5分。大腸の走行に沿って進めます
合計で4分から6分の構成です。準備段階を省いていきなり時計回りに入ると、腹部がまだ緊張したままで圧が入りにくくなります。
順序には根拠がある
手技の順序は、感覚や好みで決まっているわけではありません。解剖学的な構造と、体の反応の順序から組み立てられています。当学院では自宅で学ぶ方でも順序の根拠まで理解できるよう教材を構成しています。学習の進め方は【通学同等型】カリキュラムでご確認いただけます。
5. 腸もみを基礎から学べる通信講座
腸もみを技術として身につけたい方には、腸もみデトックスセラピー講座があります。当学院の人気講座で、大腸の走行の理解から実際の手技まで、自宅で段階的に学べる通信講座です。
学べる実技と理論
実技修業科目は、触診押圧、大腸押圧もみ、腰部押圧もみ、臀部調整、腹部ストレッチ、股関節ストレッチ、骨盤ストレッチの7項目です。腸まわりの手技だけでなく、骨盤まわりのケアまでを含みます。
理論修業科目は、栄養学基礎、宿便について、体内毒素の影響、腸のしくみ・働きについて、便秘の種類について、生活習慣健康アドバイス、施術を始める前にの7項目です。手技の根拠となる知識を体系的に学べます。
教材と受講条件
- 教材:オリジナルDVD1枚、実技テキスト1冊、理論テキスト1冊、からだのしくみ事典(副読本)、確認問題
- 標準学習期間:1ヶ月から5ヶ月。最長1年まで受講できます
- 受講料:通常価格62,700円(税込)から資格支援特別価格28,500円(税込)。24回分割で月々1,348円からです
- 認定証:確認問題を1回提出後、GBC認定証と(社)ITSA認定証の2枚を発行します
試験料、認定料、送料、更新料はすべて無料です。確認問題は100点満点で80点以上が合格、不合格の場合の再試験も無料で回数制限はありません。受講期間中の質問はメールで何度でも受け付けています。
※資格支援特別価格は時期により変動します。
受講を検討する際に気になる点は、受講前の不安を解消するQ&Aにまとめています。
6. よくある質問
反時計回りに動かしてはいけませんか
禁止ではありません。準備段階として、あえて反時計回りに1周する組み立て方があります。ただし主となる工程は時計回りです。反時計回りだけで終える構成は、大腸の走行を考えると根拠が弱くなります。
食後すぐに行っても大丈夫ですか
食後2時間程度は空けることをおすすめします。食後は胃や腸に内容物があり、腹部に圧を加えると不快感が出やすくなります。起床後や入浴後など、お腹が落ち着いている時間帯が適しています。
自分のお腹でも練習できますか
できます。ただし自分のお腹は腹筋に力が入りやすく、他者に行う場合と圧の入り方が変わります。走行を覚える段階では自分のお腹で十分ですが、圧の加減を身につける段階では、家族など協力してくれる方にお願いするほうが確実です。
1回にどのくらいの時間をかけますか
腸もみ単独であれば、準備段階と本番段階を合わせて4分から6分が目安です。腰部や骨盤まわりのケアを組み合わせたメニューにする場合は、全体で30分から40分の構成になります。
途中で痛みが出たらどうしますか
すぐに中止してください。圧を弱めても痛みが続く場合、押し方の問題ではない可能性があります。痛みが繰り返し出る、あるいは日常的に腹痛があるという方は、腸もみを続けずに医療機関を受診してください。
資格を取ると何ができますか
修了後は認定証2枚が発行され、履歴書に記載できます。ご希望の方には厚生労働大臣認可(医政第742号)全国整体療法協同組合の認定証も有料で発行しています。詳しくは厚生労働大臣認可 認定証のページをご覧ください。



