サロンのBGMと音量の決め方|曲の選び方と無音の使い分け
2026/09/01
施術中に流すBGMは、なんとなく好きな曲をかけて終わりにしてしまいがちな部分です。ところが実際にサロンを始めると、「音量が大きすぎたかもしれない」「隣の部屋に聞こえていないか」「仕上げのときも流したままでよいのか」と、判断に迷う場面が次々に出てきます。
音は、温度や照明と並ぶ環境条件のひとつです。温度は室温計で測れますし、照明は明るさの目安があります。音にも同じように、音量・テンポ・曲の長さ・スピーカーの位置という物差しがあります。この記事では、その4つを数字で整理したうえで、あえて音を止めたほうがよい場面までをまとめました。
目次
1. サロンのBGMは「聞かせる音」ではなく「隠す音」
BGMの音量を決めるとき、最初に整理しておきたいのは「何のために流すのか」です。ここが曖昧なままだと、音量もテンポも決めようがありません。
施術室には、実はかなりの数の音があります。エアコンの運転音は静かな機種でもおおむね30デシベル前後、加湿器は40デシベル台に届くものもあります。そこに外を走る車の音、上階の足音、施術者の衣擦れ、オイルボトルのポンプ音、受け手のお腹が鳴る音が加わります。
BGMの役割は、これらの音を1つずつ消すことではなく、覆って目立たなくすることです。音楽そのものを楽しんでもらうのが目的ではありません。「良い曲を聴かせる」ではなく「他の音が気にならない状態をつくる」と考えると、音量の判断がしやすくなります。
環境条件は温度・光・音の3つに分けて考える
施術空間の環境条件は、大きく3つに分けられます。温度、光、そして音です。この3つは扱う物理量が違うので、それぞれ別の物差しで決めていきます。
- 温度:室温、蒸しタオルやストーンの温度、保温の方法
- 光:照度、色温度、光源の位置
- 音:音量、テンポ、スピーカーの位置、無音の挟み方
温度の設計については施術中の温度設計で、光については施術中の照明の明るさでそれぞれまとめています。3つを別々に決めておくと、「なんとなく居心地が悪い」という状態を、どこが原因なのか切り分けられるようになります。
2. 音量の目安とテンポ、プレイリストの長さ
音量には便利な目安があります。デシベルという単位で表すと、ささやき声が30デシベル前後、静かな図書館の中が40デシベル前後、向かい合っての日常会話が60デシベル前後です。
施術中のBGMは、この中で40〜50デシベルのあたりが扱いやすい範囲になります。数値を測る機器がなくても、判断する方法があります。ベッドの脇に立って普通の声で「失礼します」と言ったとき、その声が音楽に埋もれずに聞き取れるかどうかです。声を張らないと届かないなら、音量が大きすぎます。
音量は2段階に分けて考える
入室からお見送りまで同じ音量で通す必要はありません。会話をする場面と、しない場面で切り替えます。
- カウンセリング中:会話が主役なので、音楽は背景に置く。ここで大きいと、聞き取りのために声を張ることになる
- 施術中:会話が減るので、少し上げて他の音を覆う
- 仕上げから起き上がりまで:声かけが増えるので、再び下げる
テンポは1分間に60〜80拍を目安にする
曲のテンポはBPM(1分間の拍数)で表します。安静にしているときの心拍数がおおむね1分間に60〜80拍なので、この範囲に近いテンポの曲は、聞いていて急かされる感じが出にくくなります。ヒーリング系として売られている音源の多くは50〜70BPM前後に収まっています。
逆に避けたいのは、テンポが速い曲と、途中で大きく展開が変わる曲です。静かに始まってサビで音が大きくなる曲は、施術の途中で受け手の注意がそちらに向いてしまいます。
歌詞のある曲は外しておく
日本語の歌詞が入った曲は、意味を追ってしまうため背景になりにくい性質があります。外国語であれば気にならないという方もいますが、迷うならインストゥルメンタル(歌のない演奏だけの曲)にしておくのが無難です。波の音や小川の音といった自然音の音源も選択肢になります。
プレイリストは施術時間より30分以上長く用意する
1曲の長さは3〜5分程度のものが多いので、60分の施術なら12曲から20曲が流れる計算になります。ここで注意したいのが、プレイリストがちょうど60分だと、施術が押したときや前後のカウンセリングを含めたときに、途中で最初の曲に戻ってしまう点です。
60分メニューなら、カウンセリング10分と仕上げ・お見送りを含めて90分以上のプレイリストを組んでおくと、1回の来店中に同じ曲が二度流れることがなくなります。シャッフル再生にする場合も、曲数が少ないと繰り返しに気づかれやすくなります。
3. スピーカーをどこに置くか、音漏れをどう抑えるか
同じ音量でも、スピーカーの位置によって聞こえ方はまったく変わります。特にうつ伏せと仰向けでは耳の向きが変わるため、置き場所の影響を受けやすくなります。
受け手の頭から1.5メートル以上離す
もっとも避けたいのは、ベッドの頭側の真上や真後ろにスピーカーを置くことです。この位置だと、音が片耳に近づきすぎて、音量を下げても圧迫感が出ます。
- 受け手の頭から1.5メートル以上離した位置に置く
- 高さは床から1.2〜1.5メートル程度、耳の高さの付近に置くと自然に届く
- 正面から直接向けず、壁や天井に一度反射させると音の輪郭がやわらぐ
- ベッドの足元側の壁際は、頭から距離が取れるため置き場所として扱いやすい
スピーカーが1台しかない場合は、部屋の隅に置いて対角線方向へ向けると、部屋全体に均等に広がりやすくなります。
音漏れは壁よりドアの隙間から起きる
自宅の一室をサロンにしている場合、気になるのが隣の部屋や玄関への音漏れです。一般的な住宅の間仕切り壁は、音を25〜30デシベル程度下げる性能を持っています。施術室のBGMが45デシベルなら、隣室では15〜20デシベル程度、ほぼ聞こえないレベルまで落ちる計算です。
それでも漏れて感じるときは、壁ではなくドアが原因であることがほとんどです。ドア下の隙間は1センチ前後あることが多く、ここが音の通り道になります。隙間テープを貼る、ドア下にドラフトストッパーを置くといった対処で、体感はかなり変わります。
集合住宅では低音を出さない
マンションやアパートの場合、上下階に伝わりやすいのは低音です。ドラムのバスドラムやベースの音は、床や壁を伝わって遠くまで届きます。スピーカーを床に直置きすると振動がそのまま床に伝わるため、間に厚めのマットやインシュレーターを挟むと軽減できます。
音源を選ぶ段階で、重低音が強調されていない曲を選んでおくのが、もっとも簡単な対策です。
4. 音を止める場面と、止めないほうがよい場面
BGMは、最初から最後まで流し続けなければならないものではありません。あえて止める、あるいは切り替えることで、施術の区切りを伝えることができます。
止める、または落とす場面
- 体位を変えるとき:うつ伏せから仰向けへ切り替える2〜3分は、声かけと動作の指示が中心になる。音量を下げておくと、声を張らずに済む
- 仕上げの5分:終わりが近いことを、言葉ではなく音の変化で伝えられる
- 起き上がってもらうとき:ふらつきの確認や体調の聞き取りをする場面なので、音は最小にする
- 受け手が眠ったあと:曲が変わる瞬間に目が覚めてしまうことがあるため、同系統の曲が続く音源に切り替える
止めないほうがよい場面
逆に、音を完全に切ると気まずさが出る場面もあります。腹部の施術中にお腹が鳴ったとき、オイルを追加するときのポンプ音が響くとき、施術者自身の呼吸音が目立つときなどです。無音は静けさではなく、生活音を目立たせる状態になることがあります。
「無音にする」のではなく「音量を下げる」を基本にして、完全に止めるのは仕上げの数分だけに限る。この使い分けにしておくと、迷う場面が減ります。
赤ちゃんや高齢の方への施術では音量をさらに下げる
赤ちゃんは、大人が気にしない程度の音でも反応します。曲が変わる瞬間や、音量が急に上がる場面で、驚いて泣き出すことがあります。ベビーマッサージのように月齢の低いお子さんに触れる施術では、BGMを流すとしても大人向けより一段小さくし、お母さんの声かけが主役になる音量に抑えます。赤ちゃんへの触れ方や進め方についてはベビースマイルタッチセラピー講座で、姿勢や月齢別の特徴とあわせて学べます。
高齢の方の場合は逆に、BGMがあることで声かけが聞き取りにくくなることがあります。聞き返しが増えるようなら、音楽を止めて会話を優先します。
耳の不調は施術者が判断しない
受け手から「耳鳴りがする」「音が響いて感じる」と言われることがあります。セラピストは聴こえの状態を診断する立場にはありません。その場ではBGMを止めて音量を下げる対応にとどめ、症状が続いているようであれば医療機関の受診をおすすめする。この線引きを守ってください。施術者自身についても同じで、耳の違和感が続く場合は早めに受診してください。
5. 香りと音を組み合わせて学べる講座
音を整えたら、次に手をつけたくなるのが香りです。音と香りはどちらも、触れる前から施術空間の印象を決める要素で、組み合わせて設計すると効果が出やすい部分でもあります。
グローバルボディケア総合学院のアロマ・ストレッチWセラピー講座は、アロマテラピーの基礎と、部位別のパートナーストレッチを1講座で扱う通信講座です。理論科目に「芳香浴の種類」「心地よさの理由」「ストレッチの原則」が含まれており、香りをどう空間に置くかという視点から学べます。
学べる内容
- 実技:首/肩/胸/腕/手・手首・指/腹部/背面・腰部/大腿後部・臀部/大腿前部/膝下・ふくらはぎ/足首・足裏のストレッチ
- 理論:ストレッチとは/ストレッチの効果/ストレッチの原則/ストレッチの種類と目的/心地よさの理由/芳香浴の種類/症状別ストレッチ 他
- 教材:オリジナルDVD1枚、実技テキスト1冊、理論テキスト1冊、エッセンシャルオイル(ラベンダー)、アロマポット、キャンドル、確認問題
受講の条件
- 標準学習期間:2ヶ月〜6ヶ月(最長1年まで延長無料)
- 受講料:通常61,600円のところ、資格支援特別価格26,300円(クレジット24回払いで月々1,244円)
- 認定証3枚(GBC認定1枚、ITSA認定2枚)を無料発行。更新料は0円
- 試験料・認定料・送料はすべて無料。確認問題は100点満点で80点以上が合格、再試験は無制限
- 受講期間中はメールでの質問サポートを回数無制限で利用できます
資格支援特別価格は時期により変動します。最新の金額は資料請求でご確認ください。学習の進め方や教材の内容については、充実の教育プログラムのページにまとめています。
6. よくある質問
Q. サブスクの音楽サービスをサロンで流してもよいですか
個人向けプランの多くは、利用規約で個人的な視聴に限定されており、店舗での再生を認めていません。サロンで使う場合は、店舗利用が許諾された業務用の音楽配信サービスを契約するか、著作権の処理が済んだ商用利用可の音源を使うのが確実です。契約前に、必ず提供元の規約で店舗利用の可否を確認してください。
Q. スピーカーは高いものを買ったほうがよいですか
施術室の広さが6畳から8畳程度であれば、高価な機材は必要ありません。それよりも置き場所のほうが聞こえ方への影響が大きいので、まずは手元にあるスピーカーで位置を変えながら試してみてください。買い替えるなら、低音が強調されすぎない、素直な音の出るものを選ぶと扱いやすくなります。
Q. 受け手に好きな曲を聞いたほうがよいですか
初回のカウンセリングで「音楽は苦手ではないですか」と一言確認しておくと十分です。曲のジャンルまで細かく聞くと、選曲そのものが会話の主題になってしまい、かえって落ち着かなくなることがあります。苦手だという方には、音量を最小にするか、自然音の音源に変える対応で足ります。
Q. 出張施術のときはどうすればよいですか
訪問先の環境は選べないので、小型のスピーカーを1台持参し、音量は自宅サロンより一段下げるのが基本です。訪問先が集合住宅の場合は、事前に音を流してよいか確認してください。ご自宅のテレビや生活音がある環境では、無理にBGMを流さず、声かけを丁寧にするほうが落ち着く場合もあります。
Q. 音量の測定アプリは使えますか
スマートフォンの騒音計アプリは、機種やマイクの性能によって数値がずれるため、絶対値としては信頼できません。ただし「入室時と施術中でどれくらい差があるか」といった相対的な比較には使えます。数値そのものより、ベッドの位置に立って自分の耳で確かめる習慣をつけてください。



